善き人のためのソナタ [や・ら・わ行]
彼の冷酷にも優しくも見える無表情な顔が印象的でした。
1984年の東ドイツでは、国家保安省(シュタージ)が国民を統制し監視していた。
ヴィースラー大尉も仕事に忠実な一人で
尋問や盗聴により危険思想を持つ人間をあぶり出していた。
上司に信頼の厚い彼は、人気劇作家の監視という慎重を期する任務を命じられる。
その劇作家は、大臣も狙っている人気の高い女優の恋人だった。
作家の家の中に盗聴器を巡らせて、屋根裏部屋で24時間監視する日々。
報告書には、何時何分…と作家と恋人の動向を事細かに記載していった。
しかし、二人の間にある絆の強さや愛の深さを知っていくうちに
彼の中に少しずつ変化が起き始める。
そしてある日、彼は劇作家が弾くピアノの音色に耳を傾けながら、静かに涙を流した…
初めから終わりまで続く静かな緊張感に、時間が経つのを感じませんでした。
物語は尋問のシーンから始まります。
尋問者は、布を敷かれた椅子に座らされた被疑者に向かって
「何を知っているのか」と問い続けます。
それが1昼夜以上、睡眠も無く続いていきます。
そんな究極の果てに被疑者がどのような態度を取るかで、黒か白かが判るというのです。
それを当たり前のように説明していく主人公は、あまりにも非人間的に見えてぞっとしました。
そんな彼が少しずつ変わっていきます。
彼を変えたものが何だったのか、それは一概には言えないかも知れません。
でも、詩や音楽、そして互いに愛しく思い合う恋人たちが紡ぎだす愛を目の前にしたからこそ
これまでの自分の人生を壊しても二人を守りたいという気持ちが生まれて来たのでしょう。
それにしてもシュタージの作り出した世界は、まるで第二次世界大戦以前のようでした。
妻が夫を密告し、家族同士で密告しあう。隣近所が密告するのは当たり前。
こんな世界が1989年頃まであったかと思うと、やっぱり驚いてしまいます。
ちょうど公開中の『バブルへGO!!』と近い時期なのですよね…
あまりの世界の違いに、ちょっとショックでした。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞したのも納得の1本です。

(070220)




こんにちは(^-^)
ほんと、つい最近の出来事、、というのが驚きです。
主人公を演じた役者さんも当時監視されてたとか、、、
そっか、、日本はバブルでGO!って、、、違い過ぎますね。。
by ジジョ (2007-03-05 02:20)
ジジョさんへ
nice&TBをありがとうございました。
こういう作品を観ると、勉強になると同時に知らないとこの怖さを感じます。
本当にバブルとほぼ同じ時代というのが信じられなかったです。
私は何を見て来たのだろうなあ… (^_^.)
by non_0101 (2007-03-06 00:42)
こんにちは。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
映画「善き人のためのソナタ」もとりあげています。
よかったら、寄ってみてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
by kemukemu (2007-03-08 23:04)
kemukemuさんへ
こんばんは。はじめまして!ご訪問ありがとうございます。
「善き人のためのソナタ」は、観て良かったなあと思う作品でした。
後でkemukemuさんのブログへお伺いしますね☆
by non_0101 (2007-03-08 23:53)
そっかぁ、日本じゃバブル時代だったんですもんね。ドイツと日本という敗戦国同士なのに、この差は怖いくらいですね。ナチ程の強烈さはなくとも、陰湿なイジメに近いものを感じてしまいます。人間の感情までコントロールしようとする国家、という図式が怖いです。生まれる国は選べませんもんね。
by クリス (2007-03-12 14:40)
蟻銀さんへ
nice&TBをありがとうございました。
こういう作品を観ると、歴史ってそう遠いものではないということを
改めて考えさせられます。
> 生まれる国は選べませんもんね。
本当に!日本との違いは、かなりびっくりでした(^_^.)
by non_0101 (2007-03-13 00:26)
こんばんは!
実に見ごたえのあるいい映画でした。
相互監視・スパイ・裏切り・告発・人間不信etc
このような社会が現実だとしたら、最後の人間らしい行為として、
自殺が多いのも納得です。
しかし、NONさん、この映画で描かれていることは、決して,
よその国の出来事ではなく、日本の歴史の中でも、大正末期には
大杉栄、昭和初期には小林多喜二が、そしてその他大勢の人々が
治安維持法のもと特別高等警察に拷問を受け虐殺されました。
このような社会を、2度と生み出さないためにも、人間らしく
生きてゆきたいと思います。
by みつかこねか (2007-12-20 00:07)
みつかこねかさんへ
こんばんは。長さを感じさせない緊張感のある作品でしたね。
監視するために密かに盗聴し続けるというシチュエーションが怖かったです。
今日は『母べえ』を観てきましたが、これは
治安維持法によって拘置所に収容された夫を持つ妻の物語で
戦時下における不条理をいろいろ描いていました。
by non_0101 (2007-12-20 00:51)
最後に涙が止まりませんでした。
監視や尋問はとてもおそろしかったです。
でもそれ以上に、そのような状況下でも、
自由にモノを考え、芸術を愛し、お互いを思いやる
という人たちの姿に感動しました。
しかも、ハラハラどきどきのサスペンスでもありました。
さすがnonさんが去年のナンバーワンとあげていらした通りの
映画でした。見てよかったです。
by hatch (2008-02-03 11:40)
hatchさんへ
こんにちは。コメントをありがとうございます!
心に深く感動の残るいい作品ですよね~
hatchさんも気に入られて良かったです(^^)
ずっと緊張感の途切れない展開の中で、人の善意が伝わるラストは
本当に嬉しかったです☆
by non_0101 (2008-02-04 00:31)
こんばんは。久しぶりのずっしりとした見ごたえのある作品でした。実は1985年に東欧の国々を一人1ヶ月半にわたりバックパックで旅したことがあります。今になって振り返れば体制の変わる最終の時代だったのですが、甘ちゃんの旅行者にとってさえ厳しい経験がありました。まして、あの頃こそ末期の権力の、より厳しい締め付けが国民にはされていたのだろうと想像し、街や訪れた様々な窓口(これが当時の旅の最重要スポットでした)の雰囲気を思いだしながら観ていましたのでリアルさがひとしおでした。嘗ての東欧のようにあからさまではありませんが、ハイテクが進んで今の日本もあんな個人監視が楽に行われるように成らない事を願うばかりです。
by sagres (2009-10-05 20:33)
sagresさんへ
こんばんは。とても見応えのある作品でしたね。
遠い昔ではない出来事なのに…と思うと怖さもひとしおでした。
1985年にバックパック旅行!それはすごいです。
そういう体験があると、この作品を観ていても感じる深さが違いますよね~
人が生きていくためには何が大切なのか、それをいつでも忘れない社会に
なっていて欲しいですね☆
by non_0101 (2009-10-05 23:06)