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ユキとニナ [や・ら・わ行]

諏訪敦彦監督がフランス俳優イポリット・ジラルドと共同の監督・脚本で作り上げたドラマです。
日本とフランスのコラボレーションでどんな作品が生まれたのだろうと気になっていました。
フランス人の父と日本人の母の間に生まれた少女ユキを主人公に
両親の離婚によって起きた心の揺れを子供の視線でシンプルに描いていて、
観ている者の心の中にそっと何かを残すような物語でした。

ユキ(ノエ・サンピ)とニナ(アリエル・ムーテル)は親友同士。
母たちも仲が良くて、いつもお互いの家で遊んでいた。
夏休みまであと2週間となったある日のこと。
ニナに夏休みの旅行を誘われたユキが母に夏休みの予定を聞くと、母の故郷日本へ行くという。
それもバカンスではなく、引越しするためだ。
実はユキの両親は離婚を考えており、母はユキを連れて日本へ帰ろうとしていたのだ。
このままだと日本へ連れて行かれてしまう…と落ち込んだユキ。
そして、母親とけんかしたから家出をすると言いに来たニナと一緒に家出をすることにしてしまった…

自然体の演技を引き出された2人の少女たちの存在感が楽しかったです~

フランスで生まれた少女が遠い日本へ来るまでの葛藤をちょっとファンタジックに描いた作品です。
主人公は9歳の女の子。両親の離婚によって父親や親友と離れ、今までの生活がなくなってしまいます。
もう不安や葛藤で頭はいっぱい。しかも、何と言っても日本は見知ら国。
一体どんな食べ物を食べるの?など素朴な疑問も出てきてしまいます。

もちろん彼女はフランスを離れたくないと主張します。
でも、両親が話し合いの末に決めたことです。
日本へ帰りたいと願う母は当然のこと、
父もユキが日本へ行くのを仕方ないことと納得しています。
ユキはうつむきながらも、次第にこの状況を受け入れなければならないと考え始めます。
そして、親友ニナと一緒に家出をしてしまいます。
そして、二人はパリから離れた土地にある森へと入って行きました。

この作品は公開からしばらく過ぎていたのですけど、
20日の土曜日に監督のティーチインがあるというので予定を合わせてチャレンジして来ました。
全体的に台詞が少なくドキュメンタリーのように淡々と映し出されているシーンが多かったので、
ティーチインを聞いてなるほど~と気づいたことも多かったです。

まずは、脚本に台詞がきっちりと書いてあるシーンが少ないこと。
かなり多くのシーンは“こんなことを言うかも知れない”と示唆があるだけで、
役者たちに自由に演技させながら撮り進めて行ったそうです。
子供たちは長い台詞を覚えることは無く、のびのびとユキとニナを演じていました(^^)

そして、子供を大人の付き添い無く外に出すのは危険なこと。
日本のように朝、私立へ通う小学生がひとりで電車に乗っているのを見ると驚くそうです。
そう考えると、幼い少女二人で電車に乗り、
見知らぬ土地で森へ入ることが本当に大変なことなのだと分かります。
森へ入った二人は、しばらくするとバラバラになります。
安全な方へ向かおうとするニナに対して、ユキはひとり森で暮らそうとするのです。
そのシーンでユキは「森の妖精に食べ物を持って来てもらうの~♪」と鼻歌交じりで歩いていくのですけど、
大人から見れば、それは自殺行為にも等しい行進だそうです。
(ちなみに“森の妖精に~”という台詞はユキを演じたノエちゃんのオリジナルだそうです。)
そう思うとユキの無邪気とも思えた行動が、今の世界を否定しているような
悲しい歩みのように思えてきました。

今回はティーチインを聞くことが出来て本当に良かったです。
子供の傷つきやすい心と、でも意外に強い対応能力に感心しつつ、
ユキならきっとどこにいても幸せに暮らしていけるだろうなあとちょっと感じた1本です。

hitsuji_YUKI-&-NINA.jpg

監督:諏訪敦彦 イポリット・ジラルド 出演:ノエ・サンピ アリエル・ムーテル ツユ マリリン・カント イポリット・ジラルド 森康子
2009年 フランス/日本 原題:YUKI & NINA
(20100220)

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コメント 12

KLY

素敵な作品でした。
ニナが「問題を解決しようとしたの!」なんて言葉を荒げている様子は、流石はフランス人、幼くても主張するなぁなんて微笑ましく観ていたんですが、その解決手段が愛の妖精からの手紙ってのがまた子供らしくていいですよね。
殆ど即興演出のなかであそこまでの演技が出来る2人、10年後はどんな美人になっているのか楽しみです^^
by KLY (2010-02-22 01:07) 

non_0101

KLYさんへ
こんにちは。コメント&TBをありがとうございました!
幼くても主張してましたね~!
特にニナは自分が離婚で悲しんだとかはっきり言っていて、強い!と思ってしまいました(^^ゞ
愛の妖精とか森の妖精とか、子供らしくて可愛かったです。
二人の力を最大限に引き出した監督さんは凄いなあと思います。
> 10年後はどんな美人になっているのか楽しみです^^
本当に楽しみですね~☆
by non_0101 (2010-02-22 12:52) 

たいちさん

きっちりした脚本がない新しい映画作りの挑戦なんですね。諏訪監督は「ルノワールの絵から抜け出たような少女」と表現していますね。可愛い女優が大女優に変身する過程を確認したいですね。
by たいちさん (2010-02-22 13:37) 

non_0101

@ミックさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-02-22 23:32) 

non_0101

はっこうさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-02-22 23:33) 

non_0101

ほりけんさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-02-22 23:33) 

non_0101

トメサンさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-02-22 23:34) 

non_0101

kayさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-02-22 23:34) 

non_0101

釣られクマさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-02-22 23:35) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
子供たちの魅力を引き出すには、自由に演じてもらうのが一番のようですね。
監督さんとしてはかなり苦労したと思うのですけど、
その甲斐あって、とても元気でキュートな“ユキ”と“ニナ”が誕生していました。
二人の成長が楽しみです(^^)
by non_0101 (2010-02-22 23:42) 

non_0101

aya_ruiさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-02-22 23:43) 

non_0101

まっきーさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-02-23 10:00) 

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