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プレシャス [は行]

1980年代のハーレムを舞台に一人の少女の生き様を描いた作品です。
アカデミー賞で話題になっていたので、気になっていました。
想像以上に絶望的な状況でも、前向きになる心を失わないように頑張る少女の姿に胸を打たれました。

プレシャス(ガボレイ・シディベ)は16歳。
学校の授業ではずっと口を閉ざしているけど、授業を聞いているのは好きな女の子だった。
お気に入りの数学の授業中に校長室へ呼び出されたプレシャスはそのまま退学処分になってしまう。
妊娠がばれてしまい、それに関する質問に何も答えなかったのだ。
だが、数学の成績が良いと知った校長先生は、彼女に代替学校を勧める。
学校へ行けなくなった子供たちが勉強を教わる教室だ。
そこで知識のレベルを上げることが出来れば、やがては大学への入学も夢ではない。
発言や文字の読み書きが苦手なプレシャスだったが、その教室の居心地は良く勉強が楽しく感じられた。
だが、彼女の家には相変わらず彼女に冷たく当たる最悪な母親(モニーク)が待っていた…

あまりにも惨い運命を背負っていました(T_T)

16歳のプレシャスは肥満体の自分にコンプレックスを持っています。
母親からは激しく憎まれ、まるで召使のようにこき使われ、
あんたみたいなデブが愛されることは無いと毎日のように言われ続けています。
でも、彼女だって可愛くなりたいし、愛されたいです。
ちょっとおしゃれをしたい時は前髪をカーラーで巻きます。
そして素敵な恋人に愛される空想にひたりながら、現実から逃避しています。

でも、どんなに現実から逃避しても、恋人はいないし母親は愛してくれません。
母親の憎悪の激しさは凄まじくて、殴り蹴られるだけでなく、時にはテレビが落とされることも…
本当に殺したいほどに憎まれています。
働くことの無い母親は、プレシャスがもらう生活保護費が目当てで彼女と暮らしているだけなのです。
それでも、彼女は16歳。今の彼女に自由はありませんでした。

そんな彼女の生活は少しずつ変わっていきます。
代替学校で出会った先生のミズ・レイン(ポーラ・パットン)は彼女を心から心配し、彼女を救おうとします。
強張った心が少しずつ開けるようになり、
ソーシャルワーカー(マライア・キャリー)にも少しずつ事情を話せるようになっていきます。
彼女が12歳と16歳で出産したのは何故か、その父親は誰か。そして、母親に憎まれている理由は。
予想は付いていたのですけど、それでもショックを受けるようなあまりにも酷い現実でした(T_T)

それにしても、モニークの迫力は半端無いですね~
彼女がコメディアンだと知っているからこそ、ある意味、安心して観られるような鬼畜ぶりです。
これがお芝居だと分かっていなかったら、あまりにも観ているのが辛すぎます。
実の娘をそれほど憎まなくても…と思うのと同時に、憎む理由が明らかになった時には
分からないではないけどそれよりも母親でいて!と訴えたくなってしまいました(-_-;)
また、身体全体で運命に耐え続けるプレシャスの悲しみを演じたガボレイの存在感は
この物語を本当にリアルに感じさせてくれました。

あまりにも辛いシーンの後に登場するプレシャスの空想シーンを観ながら、
そのギャップと内容の可愛さに泣けてしまいました(T_T)
次々と彼女を打ちのめす現実を前にしながら、それでも自分は自由で、
大学へ入学して幸せを掴むと夢を語ったプレシャスの瞳の強さが心に残った1本です。

hitsuji_PRECIOUS.jpg

監督:リー・ダニエルズ 出演:ガボレイ・シディベ モニーク ポーラ・パットン マライア・キャリー
2009年 アメリカ 原題:PRECIOUS: BASED ON THE NOVEL PUSH BY SAPPHIRE
(20100501)

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KLY

物語が1987年が舞台だったということがショックでした。私とプレシャスは1つしか歳が違いません。どうしても自分と引き比べてみてしまいます。我ながら情けない…。己がいかに恵まれていたのか、いかに親に愛されて来たのかを痛感しました。
by KLY (2010-05-03 02:58) 

non_0101

KLYさんへ
こんにちは。コメント&TBをありがとうございました!
主人公が一緒の時代に生きた人だったのですね!
やっぱり自分を振り返ってしまいますよね~
映画を通じていろいろな哀しみを観ることがありますけれど、
親にこれほど憎まれるなんて哀し過ぎます(T_T)
私もこういう作品に出会う度、些細なことで挫けてはダメだと
ちょっと反省させられてしまいます☆
by non_0101 (2010-05-03 08:35) 

non_0101

はっこうさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-03 08:36) 

non_0101

@ミックさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-03 08:36) 

エコピーマン

神は試練を与え給うた なんて信じていないのですが
ある意味そうなんですねけど 神ではなく偶然でしょうが
神は人の心の普遍的なものでえはないかと捉えています
物事の 善し悪しは その人の天秤でしょうから 
辛くても 必ずその中にしあわせを見いだせるのでしょうね
それは本人がそう捉えないとできない
夢というものは ビタミン剤 いや生命力といっていいのかも
by エコピーマン (2010-05-03 14:37) 

coco030705

こんばんは。
私もアカデミー賞を見て、どんな映画なのか心惹かれました。

むごい現実のなかで、一筋の光を見つめながら生きていく少女の姿には、感動するでしょうね。見に行きたいと思いました。
by coco030705 (2010-05-03 17:58) 

non_0101

エコピーマンさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
子供は与えられた環境の中で生きるしかないのですよね。
その中で、時には心が折れそうになりながらも、
幸せになることを諦めない主人公の姿に胸が打たれました(T_T)
観ていて辛すぎると思った時にふと挿入される彼女の煌びやかな空想が
少女らしくて可愛いからこそ、切なくなってしまいました☆
by non_0101 (2010-05-03 19:07) 

non_0101

cocoさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
片意地を張って頑張るというのではなく、
彼女が出来ることを見つけ、少しずつ前へ進んでいく姿は
とてもリアルに感じられました。
母親役のモニークの演技もアカデミー賞が納得の迫力でした。
機会がありましたらチャレンジしてみてくださいね☆
by non_0101 (2010-05-03 19:11) 

non_0101

dorobouhigeさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-03 19:12) 

non_0101

あかしやさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-03 19:13) 

なぎ猫

ああ、GW、見たい映画がいっぱいです。個人的には、予告を見る限り、自分の好きな感じの映画ではなさそうですが、それでも見たいです。
by なぎ猫 (2010-05-05 10:16) 

non_0101

なぎ猫さんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
見応えのある作品でした~
主演のガボレイ・シディベの存在感と母を演じたモニークの迫力は凄いです。
ただ、主人公の背負った人生にドーンと胸が重くなりました(T_T)
by non_0101 (2010-05-05 11:57) 

たいちさん

アカデミー賞にノミネートされてから、いろんなサイトで映画評を観ました。凄い内容の映画という事は分かりましたが、すすんで観たいという気持が今のところ湧きませんね。
by たいちさん (2010-05-06 00:18) 

non_0101

たいちさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
主人公の背負った人生はあまりにも哀しいなあと思いましたけど、
同時に生きていく力強さを感じる作品でした。
アカデミー賞で話題になるのもなるほどなあと思いました☆
by non_0101 (2010-05-06 12:39) 

ジジョ

ほ〜。モニークってコメディアンだったんですね!
アカデミー賞の囲み取材の時に、
記者を全員「シュガー」呼ばわりしててw
すごいおもしろい人だな〜とおもってたんだけど☆
今度は明るい役のモニークも観たいですね♪
by ジジョ (2010-05-06 17:25) 

non_0101

ジジョさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
モニークってやっぱり面白い人なのですね(^^ゞ
今回の役は本当に大変な役だったので、
明るくて弾けている彼女も見てみたいですね~☆
by non_0101 (2010-05-07 12:34) 

non_0101

aya_ruiさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-09 09:29) 

non_0101

まっきーさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-09 09:30) 

non_0101

PENGUINGさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-09 09:30) 

non_0101

おさむさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-09 09:31) 

non_0101

artfuldodgerさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-05-09 18:55) 

coco030705

こんばんは。TBもありがとうございました。(^^)

プレシャスのような問題は、日本でも起こっていると思います。
怖いことです。どうしたら私たちは虐待をなくすことができるのか、
真剣に考えていかなければなりませんね。
色々考えさせられる作品でした。
by coco030705 (2010-05-18 23:19) 

バラサ☆バラサ

モニーク自身が悲惨な少女期らしいですからね。どういう気持ちで演技していたのでしょうか。いやぁ、迫力の演技でした。


by バラサ☆バラサ (2010-05-19 00:24) 

non_0101

cocoさんへ
こんにちは。コメント&TBをありがとうございました!
きっと日本でも起こっていそうですね(T_T)
日本ではまだまだ表面化されていない問題なのかもしれませんね。
私も観終わった後、しばらく考えこんでしまいました☆
by non_0101 (2010-05-19 12:37) 

non_0101

バラサ☆バラサさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
モニークの迫力は凄かったですね~
本当に鬼のようで、観ているだけでも怖くて泣けてきました(T_T)
かなり悲惨な体験をしている人のようですね。
だからこそ、出来た演技なのかも知れないなあと感じました☆
by non_0101 (2010-05-19 12:40) 

ひきばっち

すごく観たいと思っていた本作を、ようやく観ることができました。
深い感動に包まれました・・。
男として身の引き締まる思いでした。
プレシャスの涙は、地球上の全ての女性の涙なんだなぁと思うと、胸の詰まる思いでした。
この作品は私にとって「ハート・ロッカー」に勝るとも劣らない1本になりました・・。
by ひきばっち (2010-06-04 21:46) 

non_0101

ひきばっちさんへ
こんにちは。コメント&TBをありがとうございました!
“地球上の全ての女性の涙”でしたね~
深い悲しみと共に、主人公の前向きな気持ちに勇気付けられました。
衝撃的で感動の作品でした☆
by non_0101 (2010-06-05 09:39) 

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