ミヒャエル

自宅の地下室に誘拐した幼い少年を監禁している一人の男を描いたドラマです。
解説に“サイコスリラーではなく、ホームドラマのように異常者を描く”と書いてあったので
どんな作品なのだろうかとチャレンジしてみました。
確かに淡々と日常が描かれていたのですけど、やっぱり異常な状況なので、
最後はじわじわくる怖さにぞっとさせられるような作品でした。

普通に流れていく時間がとても怖かったです(T_T)

主人公のミヒャエル（ミヒャエル・フイト）は保険会社に勤めるサラリーマンです。
日々、デスクで顧客対応をしている物静かな男で、会社ではそこそこの信頼を得ています。
でも、彼には秘密があります。
防音を施し、外から厳重な鍵を掛けている地下室には、一人の少年を置いているのです。

ミヒャエルは家に帰ると、玄関の鍵を閉め、窓のシャッターを下ろし、食事の支度が出来たら
地下室まで少年を迎えに行きます。
お皿とフォークとナイフをきちんと揃えたテーブルで向かい合わせで食べても、会話はほとんどありません。
少年がテレビを見たいというと9時までの時間制限で許可し、
時間になると番組が途中でも再び地下室へ閉じ込めます。
そして、自分の好きな映画を観て楽しみ、1日の終わりには少年のところへ行って性の対象にするのです。

そんな日々にも微妙な変化は起きていきます。
ミヒャエルは普通に働いている会社員なので、仲間付き合いもあるし親姉弟もいます。
それでも、一軒家に一人暮らしの彼にとっては、一人の少年を隠すことなど割と簡単です。
ただし、少年にとってそんな生活は許しがたいものです。
やがてその不満は大きくなり、ミヒャエルにとって思いもかけない事態が起きてしまいました。

それにしても怖かったです(T_T)
穏やかで大人しそうに見える主人公の裏に隠された歪みは、一人の少年の存在で明確になっていきます。
少年が次第に反抗心を見せるようになるにつれて、観ている方はショックから怖さへと変わっていきます。
そして、そのドキドキ感が最高潮になった時、映画は終わりを迎えました。

エンドロールが始まった時は、えーっここで終わらせないで～と思ってしまいました。
せめて少年にとって希望の持ている終わりであって欲しいなあと願いながら最後まで見入っていた1本です。



監督：マルクス・シュラインツァー　出演：ミヒャエル・フイト　ダヴィド・ラウヘンベルガー　クリスティーネ・カイン
2011年　オーストリア　原題：MICHAEL
（20111025）

追伸
この映画は第24回東京国際映画祭で観ました。公開予定は未定です。

コメント 24

面白そうな映画ですね。怖い映画が好きなもので・・・。
東京国際映画祭、東京に住んでいないので一度も行ったことがなく、うらやましいです。マイナー作品っぽいので全国公開はどうでしょうか？。是非チェックしたいと思いますが。
by ムース (2011-10-26 00:24) 

「コレクター」(1965/英＝米)の様なストーリーですね。
「コレクター」は原作だと主人公は捕らえた女性の美しさを求めるのが
主眼で、目の前の女性本人より、彼女の美しい瞬間を写した「写真」
の方に価値がある、と考えるのですが・・・。

by k_iga (2011-10-26 01:06) 

ムースさんへ
こんにちは。nice＆コメントをありがとうございました！
私は怖がりなので、あの劇場で一番怖がっていたかも知れません^^;
静かな人なのに普通の顔をして常識では考えられない行動をとっているところが
とても怖かったです。
映画祭では、普段見ることが出来ない作品も多いので、ついチャレンジしてしまいます(^^ゞ
とても見応えのある作品だったので、どこかで上映されてもいい感じがするのですけど
そう言えばオーストリア映画ってあまり観たことがなかったです☆
by non_0101 (2011-10-26 08:29) 

k_igaさんへ
こんにちは。男がちゃんと子供の世話をしているところが、また不気味でした。
よくお父さんが子供にしてあげるように、ちゃんと髪の毛を切ってあげたりもしているのです。
ただ、動物園っぽいところへも行くのですけど、連れ歩いている間も
決して放さないようにしているところが何とも怖かったです☆
by non_0101 (2011-10-26 08:32) 

ねじまき鳥さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-26 08:37) 

nyonyoさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-26 08:37) 

beamuseさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-26 08:37) 

男色の映画のようですね。女性には興味を示さず、少年を性の対象にするのは許せないですね。
by たいちさん (2011-10-26 15:21) 

たいちさんへ
こんにちは。nice＆コメントをありがとうございました！
許せない人を、とても客観的な視線で描いたらどうなるかという試みで作られた作品のようです。
なので、主人公は普通の生活をしているように映し出されているのですけど、
でもやっぱり異常で、普通の顔をしている分、めちゃくちゃ怖く感じました☆
by non_0101 (2011-10-27 08:58) 

nikiさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 08:58) 

Ritaさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 08:58) 

alba0101さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 08:58) 

あいか5drrさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 08:59) 

ブラザーボブかきもとさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 08:59) 

なぎ猫さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 22:08) 

まぁくんさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 22:09) 

kiyoさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 22:11) 

つむじかぜさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-27 22:11) 

想也さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-10-31 08:51) 

munesueさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2011-11-04 22:22) 

ホームドラマのように異常者を描くという時点で、少し不気味さを感じますね＞＜。。
一人ぼっちではみないようにします＾＾；
by 月夜空 (2011-11-07 11:42) 

月夜空さんへ
こんばんは。nice＆コメントをありがとうございました！
本当に普通の人の生活を撮っているようで、でも普通じゃないのです(>_<)
ラストに近付くにつれて、ドキドキが止まりませんでした☆
by non_0101 (2011-11-07 22:31) 

はじめまして。　TIFFお好きなのですね。
私は本作すごくよくできていると思いました。
最後まで集中して目が離せない所なんかが。。。

ハネケ作品は実は苦手で、この監督さんは『白いリボン』で子どものキャスティングをしていたと聞き、もしそんな作風だったら困るなーと思っていただけに、あの結末の見せ方はうまいなと感じました。
by rose_chocolat (2011-11-13 11:09) 

こんにちは。
はじめまして☆　コメント＆ＴＢをありがとうございました！
TIFFはここでしか観られない作品が多いので楽しみにしているのですけど、
結局観たい映画の半分くらいしか観れなくて、いつも悔しいなあと思ってます(^^ゞ
この作品には引き込まれましたね。
あの部屋が結局どうなっていたのか、凄く知りたかったです。
観終わった後も、しばらく気になって仕方がありませんでした。
ただ、そこも上手いところなのですよね☆
by non_0101 (2011-11-14 00:12)