私の休日の楽しみのひとつ、家で読んだ単行本の中で面白かった本の感想です。
今回の本は『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブレイディみかこ/著 新潮社昨年の6月に発売され、本屋大賞2019「ノンフィクション本大賞」を受賞したベストセラーです。
普段はエッセイとかノンフィクションはあまり読まないジャンルなのですけど、
この本は発売日から本屋さんの入り口で黄色に輝いて目立っていたので手に取ってみました。
普段はこのジャンルを読まない私でもものすごく読みやすかったです。
きっと何度も読み直したくなる本だと思いました。そして、この週末にも再び手に取ってみました。
英国で暮らす一家の母の目を通してみた中学生の息子の日常を描いています。
彼はアイルランド人の父と日本人の母と共にイングランドのブライトンで暮らしています。
この男の子は、中学校に入って学校の環境が激変しました。
小学校の時は裕福な家の子が多く通っている学校だったので、公立校ながら人気の高い名門校でした。
上品なミドルクラスの小学校を卒業して通うことになった中学校は
“殺伐とした英国社会を反映するリアルな学校”でいじめもレイシズムも喧嘩もあるような学校です。
彼は、学校生活の中で出会う出来事に向き合いながら、自分の頭で真剣に考えていきます。
様々な人種や様々な格差の中で生きる中学生の言葉はとても真っ直ぐです。
何度読んでも、改めて心に響いてくるような言葉に出会います。
今回は、人間は人をいじめるのが好きなのではなく罰するのが好きなんだという言葉です。
いじめと正義がすり替わってしまうのも、こんな心理からかなとちょっと感じました。
この本を読んでいると、往々にして何気ない言葉が人を傷付けるということを考えさせられます。
傷付いた経験を持つ人は、他人の言葉に敏感になりますし、
傷付ついた経験のない人は、自分の言葉に鈍感になります。
そんなことを改めて思い知ることが出来る本でした。
このご時世の中、静かに家の中で読み直すにはぴったりでした。
読み終わった時、次に読む時はどんな言葉を見つけるかなと思った1冊です。
(20200524)