私の日々の楽しみのひとつ、通勤電車の中で読んだ文庫本の中で面白かった本の感想です。
今回は『隠れの子 東京バンドワゴン零』です。
『隠れの子 東京バンドワゴン零』 小路幸也/著 集英社文庫目次は
隠れあそび
ざりば講
闇隠れ
隠れの子 です。
東京バンドワゴンシリーズの小路幸也さんが江戸時代を舞台に描いた時代小説です。
“東京バンドワゴン零”とありますが、物語的には東京バンドワゴンシリーズとはあまり関係ありません。
しかも、登場人物の多くが超能力者というちょっと不思議なミステリーです。
この物語では超能力や超能力者を“隠れ”と呼んでいます。
そんな隠れの人々は、その能力のために幼い頃に親元から離れて暮らしている者が多く、
主人公の少女“るう”もその一人です。
彼女は幼い頃に江戸で植木屋を営む“神楽屋”に引き取られました。
神楽屋のご主人・鉄斎も隠れの人です。
彼は家から出されてしまった隠れの子を引き取って、能力に合った生き方を出来るように育てています。
鉄斎の元へたどり着いた隠れは幸運だったかも知れません。
彼らは他人とは大きく違う自分自身をきちんと理解し、
自分を理解してくれる仲間を得て生きていくことが出来るようになったのです。
やがて、おるうちゃんは彼女が持つ能力により、
鉄斎から「隠れあそび」の対処を頼まれるようになります。
そして、隠れの絡む大きな事件に関わっていきました…
真っ直ぐな芯の強さを持っているおるうちゃんのキャラクターが良かったです。
彼女が誰からも目をかけられて愛されるのも解るなあと思いました。
あと、彼女が出会っていく秣商の遠州屋佐吉さんや
北町奉行所の同心、堀田州次郎さんも本当にいい人たちです。
そして、そんな彼らの活躍で難しい事件が解き明かされていく展開が面白かったです。
久々に何度も読み返したくなるような小説でした。
読み終わった時、彼らの活躍の続きを読みたいなあと思った1冊です。
(20210810)