エリック・ロメール監督の創りあげた美しいファンタジーです。
美しい自然そのものを舞台にした演劇のような、牧歌的で可愛いラブストーリーでした(^^)
5世紀、ローマ時代のロワール地方。
羊飼いの少女アストレ(ステファニー・クレイヤンクール)と青年セラドン(アンディ・ジレ)は
お互いに強い愛で結ばれている。
だが、二人の家はとても仲が悪いため、村中が集まる祭りの時には親たちを刺激しないように
互いの距離を置こうと考えた。
祭りの当日、二人はその計画通りに別のパートナーと一緒にいたが、
セラドンに好意を持っていたパートナーが彼に迫って無理にキスをしてしまう。
その現場を目撃したアストレはセラドンが浮気したと思い込み
自分の前に姿を現すなと彼に向かって言い放った。
その言葉に深く傷ついたセラドンは、絶望のあまり川に身を投げてしまった…
ひとつひとつのシーンが絵画のような美しさでした~
舞台は5世紀のロワール地方。
樹木や草花は美しく咲き誇り、川は澄んだ輝きをみせ、石造りの城は静かに佇んでいます。
ローマ時代になって、祭られる神はローマ神へと代わっていでも、古代の神も忘れられてはいません。
そんな時代の中で、アストレとセラドンは愛に生き、愛を育んでいこうとします。
彼らにとっては愛こそが全てなのです。
でも、運命はイタズラなもの。誤解と愛の強さのために、二人は遠く離れてしまいます。
そして、愛の喪失に打ちのめされていきます。
特にセラドンの嘆き方は激しいです。
愛する人に姿を見せるなと言われて死を選ぼうとするのです。
ひたすらアストレへの愛を貫こうとするその姿は
もう愚かさを通り越して、愛に全てを捧げる情熱そのもののようでした~
それにしても、主演の二人は本当に綺麗でした~
二人の美しさと優しい色の素敵な衣装があれば、
CGなど使わなくてもファンタジーの世界が創れてしまいますね。
観終わった時、現実を忘れておとぎ話の世界を旅してきたような気分になった1本です。
監督:エリック・ロメール 出演:アンディ・ジレ ステファニー・クレイヤンクール
2007年 フランス/イタリア/スペイン 原題:LES AMOURS D'ASTREE ET DE CELADON
(20090204)