元刑事で今は探偵のクライン(ジョシュ・ハートネット)は、ある日人探しの依頼を受けた。
一人息子シタオ(木村拓哉)を探して欲しいという父親からだった。
父親は世界的大企業の社長で、長いことシタオとの交流は疎遠だった。
そのシタオがフィリピンへ行ったきり消息不明になったのだ。
シタオを探すために先に雇った探偵も一度連絡があった後、音信が途絶えた。
フィリピンへ飛んだクラインは前任の探偵を探し出し、シタオのことを尋ねると
彼は7ヶ月前、悪人たちに殺されてしまったと話し始めた…
出演者たちはみんな観ているのも辛いような苦悩と痛みで、血みどろドロドロでした(T_T)
過去に連続殺人犯と共感し、苦悩こそが至高の芸術だと感じるようになってしまった探偵。
常に心に不安を持ち、暴力で人を支配して、安らげるのは愛する恋人の側だけというヤクザ。
触れたものの傷を自分に移して相手を癒す能力を持つ不思議な若者。
この3人が織り成す苦しみの物語です。
物語は探偵クラインの悪夢と現実の中で展開されていきます。
クラインはシタオを探しながらも、自分の壊れた精神に苦しめられます。
クラインの体験した殺人犯との死闘が悪夢として甦り、現実以上の辛さを今も彼に与えているのです。
肉塊と化した人間のオブジェに囲まれた部屋での犯人とのやり取りは、はっきり言って理解不能かも…
そして、いくら犯人を捕まえるためとは言え、こんな犯人に共感しなくてはならないなんて
なんて不幸な人だろう…と思ってしまいました。
キリストの再来のような癒しの力を持つシタオは、人から求められる度に力を使い
自分の身体を傷だらけにしていきます。
人の苦しみを自分のものとして背負っていくシタオは、まるでキリストのようです。
それは自分で応じている行為なのですけど、止めようよと思いたくなるほど痛々しかったです。
また、ドンポ(イ・ビョンホン)は残虐なヤクザなのに恋人がいないと生きていけないという
分かり易いようであまり分からない男でした(^^ゞ
それにしても…物語が分かり難いのは覚悟していたのですけど、ここまで痛そうな作品だとはびっくりです。
もともと血が苦手だったので、シーンが変わるたびに新しい血が出てくるようで怖かったです。
しかも、“虫”が(ToT) もうこれは気持ち悪くて、一人で椅子から飛び上がりそうになりました。
本当にキツかったです~
この3人で、今度はもう少し楽しそうな映画を作って欲しいなあと感じた1本です。
監督:トラン・アン・ユン 出演:ジョシュ・ハートネット 木村拓哉 イライアス・コティーズ イ・ビョンホン ショーン・ユー
2009年 フランス 原題:I COME WITH THE RAIN
(20090610)