暗闇の中、一人の男がビルの屋上から真っ逆さまに落ちた。
その様子を屋上から見下ろしていた人影は、静かに建物の中へと消えて行った。
(時間は過去へと戻り、パーティの場へと移る。)
パーティの主催者は建築家のビンセント(フィリップ・ペータース)。
今日は彼の設計した近代的な居住ビルのお披露目だった。
笑顔のビンセントは4人の友人たちクリス、ルク、フィリップ、マルニクスにある提案をする。
それはビンセントが作ったビルのロフトを5人で共同使用しないかというものだった。
家族にも内緒のお楽しみ空間にしようという誘いに乗った友人たちは
次第に、妻に内緒で恋人と楽しむ場として使い始めた。
だが、その5人しか知らないはずの部屋で女性の遺体が発見された…
5人ともみんな怪しくて、最後まで騙されました(^^ゞ
金も権力もあり、女性との関係を遊びのように割り切っている傲慢な建築家ビンセント。
家族を大切にしているのに、次第に愛人との愛に溺れていく精神科医クリス。
不倫を止められないのに、妻に捨てられるのが怖いマルニクス。
糖尿病の妻を深く愛して裏切ることなど考えられないルク。
そして、ハンサムだけど遊び好きなのに、妹のこととなるとすぐに目の色を変えるフィリップ。
この5人だけが共同で使っていたロフトで女性の遺体が見つかります。
血だらけの遺体はどう見ても殺人です。
男たちは保身のために警察への通報をせず、自分たちで解決しようと考えます。
犯人は5人のうちの誰なのか。その動機は何か。
時間を追うにつれ彼らの持つ様々な事情や背景が浮かび上がってきます。
過去と現在を行き来する展開と男たちの感情の交差が面白かったです。
ただ、どの男たちも自分の感情には正直かも知れませんけれど、妻に対しては不誠実な人ばかりです。
物語の途中で妻たちが一同に集まりながらじっと夫たちを観ているシーンが何度かあって
台詞も無いシーンなのに緊張感がバシバシ伝わって来ました。
そんな妻たちの視線を感じながらも他の女性と遊んでしまう男心って何だかなあ…と思ってしまいました。
事件の真相に行き着くまで二転三転して、
観ている者を思いっきり騙していく展開はかなり面白かったです。
観終わった時、謎説きが面白かったと思うのと同時に、
彼らはこの事件を通してどう変わっていったのかなあとちょっと考えてしまった1本です。
監督:エリク・ヴァン・ローイ 出演:ケーン・デ・ボーウ フィリップ・ペータース ブルーノ・ヴァンデン・ブルーク マティアス・スーナールツ ケーン・デ・グラーヴェ
2008年 ベルギー 原題:LOFT
(20091213)