1972年。脚本家を目指す大学生リチャードの作品が舞台上演され、大学で打ち上げパーティが開かれた。
評判も上々で、もしかしたらブロードウェイで上映されるかもと話すリチャードの笑顔は希望に輝いていた。
そんな彼に静かに近づいてきた老婦人がいた。
彼女は年代ものの懐中時計を彼に渡すと
私を探し出してねと想いを込めるように言い残して静かに去っていった。
リチャードは見知らぬ老婦人からの言葉に戸惑いながらも、彼女の顔は忘れられないものとなった。
それから8年後、舞台作家として成功したリチャードは極度のスランプに陥っていた。
気分転換のため、あてもない旅に出た彼は有名なグランド・ホテルに泊まることにした。
食事を取ろうと食堂へ向かったリチャードだが、開くまではまだ40分もあることが分かった。
時間を持て余した彼は、ふとホテルの史料室に目を留める。
小さな部屋に展示された歴史を感じる史料を楽しみながら見ていたリチャードは
壁にかけられていた美しい女性のポートレートに一目で心を惹かれてしまった…
本当に美しくて切ないラブストーリーでした~
愛する人のために1980年から1912年の過去へとタイムトラベルした脚本家と
彼との出会いを胸に彼を一生愛し続けた美しい女優との物語です。
タイムトラベルの方法は強く願って自己催眠を起こすというもの。
そこはちょっと不思議なのでSFというよりはファンタジーな感覚で観た方がいいかも知れません。
でも、そんな不思議も気にならないほど美しい愛の物語に引き込まれていきました。
最初に惹かれたのはリチャードに懐中時計を渡す老婦人の存在感です。
落ち着いた物腰で品を感じさせる彼女が何故そんなにも幸せそうに見えるのか、とても気になりました。
そして物語が進むにつれて、彼女の心のうちが分かってきます。
それはとてつもなく深くて強い愛情の姿でした。
1912年のアメリカの風景も素敵でした。
時代を感じさせる服装や建物の様子、そして馬車をはじめとする人々の生活ぶりが楽しかったです。
そんな風景に目を輝かせて楽しむリチャードには観ているものの共感を誘います。
そして時代溶け込むように佇む女優エリ-ズの美しさに、彼のときめきが真っ直ぐに伝わってくるようでした。
それにしても、主演を演じた二人が素敵でした~
リチャードを演じたクリストファー・リーヴの愛する者に出会えた喜びをたたえた青い瞳と
エリ-ズを演じたジェーン・シーモアのちょっぴり憂いを感じさせるような笑顔に惹かれました。
運命の出会いを果たしたこの二人には絶対に幸せになって欲しいと願うからこそ、
その結末はとてもとても切なかったです(T_T)
観終った時、パガニーニのラプソディーの余韻にうっとりしながら
う~ん、やっぱり名作はいいなあとしみじみ思った1本です。
監督:ジュノー・シュウォーク 出演:クリストファー・リーヴ ジェーン・シーモア クリストファー・プラマー スーザン・フレンチ
1980年 アメリカ 原題:SOMEWHERE IN TIME
(20100305)