タイトルの“ワコルダ”とは、少女のお気に入りの人形の名前でした。
とある一家がひとりのドイツ人医師と出会うところから始まる物語です。
ある日、12歳の少女リリスの一家は300km離れたバリローチェの湖畔へ車で移動しようとしていました。
妻の両親が持っていた民宿を再開するために、妻の生まれ育った故郷へ帰ることにしたのです。
両親と少女、兄と弟の一家5人での引越でした。
そこへひとりのドイツ人旅行者の車が近付いて来ました。
彼はリリスが落とした人形を拾うと彼女に何歳かと声をかけます。
何歳に見える?と逆に問われた彼は9歳くらい?と答えますが、実際の彼女は12歳でした。
幼い頃から虚弱で身体の発達も遅い子だったのです。
そんな彼女にドイツ人は興味を持ったように瞳をキラリとさせました。
娘と話している見知らぬドイツ人に父親が何の用かと問い質すと
彼はこれからの道を一家の後ろに付いて行っても良いかと尋ねます。
普通、外国人旅行者は荒野を300kmもひとりで運転することを怖がるのです。
一家の父は納得し、断る理由も無いのでとりあえず承諾しました。
それが全ての始まりでした。
それにしても、自分の目的を成し遂げるために近付く人というものは親切で良い人に見えるものですね。
このドイツ人医師もこの地域に来る人にしては上品過ぎでちょっと怪しげな雰囲気はあるのですけど、
少女や妻の体調を気にかけてあげるなど、少しずつ一家の信頼を取り付けます。
しかも、なかなか警戒心を解かない父親には人形作りの事業の手助けを申し出るなどかなり巧妙です。
でも、彼は医師としては本当に優秀な人なのですけど、実はナチスで人体実験をしていた人でもありました。
人の成長に関わる実験をしていたのです。
そして、小柄なために学校で虐められていたリリスに、成長を促進させる薬を打ち始めます。
また、双子を妊娠した妻にも強い興味を示し始めました。
戦争から随分と時が過ぎてもナチスにからむ事件が起きて、しかも場所がアルゼンチンとはびっくりでした。
観終った時、最後までドキドキさせられる展開に面白い映画を観たなあと思った1本です。
監督:ルシア・プエンソ 出演:フロレンシア・バド アレックス・ブレンデミュール ナタリア・オレイロ
2013年 アルゼンチン/フランス/スペイン/ノルウェー 原題:Wakolda
(20131026)
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ラテンビート映画祭のサイトはこちらへ http://www.hispanicbeatfilmfestival.com/lbff2013/movies/wakolda.php追伸
この映画はラテンビート映画祭で観ました。公開予定は未定です。