原題の“THE COMPANY YOU KEEP”こそが物語のキーポイントでした。
ある朝、主婦のシャロン（スーザン・サランドン）がFBIに逮捕されるところから始まる物語です。
普通の主婦で30年間を過ごし、子供二人を育て上げたシャロンは、実はベトナム戦争時に
アメリカ全土を覆った反戦運動の中で過激な活動をし、殺人の罪で長年指名手配されていました。
でも、本当は子供が大きくなった今、自首を決心して夫とも相談していたところだったのです。
そして、そのことを古い友人に相談した電話を盗聴したFBIに知られて逮捕されたのでした。
弁護士ジム・グラント（ロバート・レッドフォード）のもとにシャロンの弁護を頼みに来た男がいました。
男は当時の彼女を知る人物で、ジムのことも知っていました。
でも、１年前に交通事故で妻を亡くし、11歳の一人娘を男手一つで育てているジムにとって
それほど大きな事件を受ける余裕は心身ともにありませんでした。
そう言って依頼を断ったジムにとって、もう事件は終わったはずのことでした。
でも、新聞記者ベン・シェパード（シャイア・ラブーフ）が事件を追い始めた時、過去が動き始めます。
ジムがシャロンの弁護を断ったことに疑問を持ったベンが、ジムの過去を調べ始めたのです。
やがて彼はジムの過去がある年で途絶えていることを発見します。
そして、ジム・グラントは偽名で、本当はシャロンと共に指名手配された
過激派グループのニック・スローンだと気付いてしまいました。
それにしても、予想とは違って静かに考えさせられるような作品でした。
新聞記者ベンが接近してきたことから、身の危険を察知したジムは娘を弟に託して逃亡を始めます。
ジムにとってそれはただの逃亡ではありません。
過去の事件の真相を明かし、娘の未来を救うための行動だったのです。
そして、その真相に気付いたベンも、もう一つの隠された真実を見つけ出します。
その真実と向き合ったベンにも少しずつ心の変化が起き始めていました。
ジムの過去や友人たちとの関係を見つめ直す旅は様々な人を巻き込みながら続きますけど、
友情は彼を裏切ることはありませんでした。
それは、彼が最後まで誠実だったからかも知れません。
そんなキャラクターはロバート・レッドフォードにぴったりでした。
何と言っても、彼の友人たちを演じた俳優陣が本当に豪華でした。
観終った時、遠い過去になったとしても、真剣に付き合った友人たちとの絆の大きさを感じると共に、
ベトナム戦争の狂気がどれほど大きくアメリカという国を動かしていたのかを感じた１本です。
監督：ロバート・レッドフォード 出演：ロバート・レッドフォード シャイア・ラブーフ ジュリー・クリスティ サム・エリオット ジャッキー・エヴァンコ ブレンダン・グリーソン テレンス・ハワード リチャード・ジェンキンス アナ・ケンドリック ブリット・マーリング スタンリー・トゥッチ ニック・ノルティ クリス・クーパー スーザン・サランドン
2012年 アメリカ 原題：THE COMPANY YOU KEEP
（20140117）
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