三姉妹以上にお母さんが豪快でした(^^ゞ
六月燈の祭りが近付いたある暑い日のこと。
家の用事で町にお使いに出ていた次女・奈美江(吹石一恵)は、電車を降りながら日傘をぱっと開きました。
その様子は何となくこの土地柄とは違う雰囲気を感じさせます。
実は彼女は結婚して東京で暮らしていましたけど、現在は離婚調停中で実家へ帰っていたところでした。
そして同じ頃、奈美江の実家である和菓子屋には、奈美江の夫・徹(津田寛治)が暑さに汗を拭きながら、
行きがけに東京で買ったお菓子を手土産に現れていました。
徹の姿を見かけた三女・栄(徳永えり)は、離婚の原因は浮気?と楽しそうに問いかけます。
また、母(市毛良枝)と長女・静江(吉田羊)は丁寧な口調ながらも笑顔を見せずに挨拶をしていました。
彼らはすでに次女の奈美江が離婚を決意して帰郷したことを受け入れていました。
実は母は2度の離婚経験者、長女もバツイチの出戻りで、離婚を受け入れやすい家系だったのです。
まだ印は押していないと主張する徹の言葉も聞き流し、娘がお世話になりましたと彼を追い払おうとします。
でも、彼が粘っているうちに奈美江が帰宅してきました。
そして、必死な様子の徹に、とりあえず祭りの出店に出す和菓子作りの手伝いをさせ始めました。
それにしても、ちょっと面白い家族でした。
母は一度目の離婚で静江と奈美江を産み、奈美江が3歳の時に離婚しています。
その後、父が亡くなるまで父に引き取られた奈美江と母に引き取られた静江とは別居していたため、
未だに奈美江は姉の静江とは敬語の会話になってしまう時があります。
でも、継父・眞平(西田聖志郎)との間に生まれた妹の栄には気安く話せるのです。
しかも、その眞平の浮気が原因で再び母は離婚し、それでも同居しながら和菓子屋を営んでいます。
映画の中でも眞平がフランス式と言っていましたけど、結婚と独身の境界がゆるい感じの家族でした。
また、三姉妹の性格はバラバラです。
長女の静江は母よりも落ち着いているしっかり者で、店にも家族にも欠かせない存在になっています。
次女の奈美江は強そうに見えても脆い部分も持っていて、自分でも自覚しており、
それは離婚の原因の一端にもなっています。
三女の栄は美人の姉たちに対して自分の容姿をちょっと残念に思いながらも、仕方ないと諦めています。
その分、元気に明るく振舞っていますけど、直情的な言動で周りに波風を立てることも多いです。
そして、見かけによらず、実は密かに将来への悩みを抱えていました。
そんな家族の中では、奈美江の離婚問題、売上の下降している和菓子店の将来への不安と後継者問題、
栄の恋愛問題など、様々な問題が浮かび上がっていきます。
そんな問題に真っ直ぐな姿勢で慌てずに対処していく様子がとてもリアルに感じられました。
そして、問題が完全には解決しなくても、少しずつ前へ進んでいける気がしてくるところが面白かったです。
日本映画なのですけど、じめっとした感じではないところが鹿児島らしいのかなあと感じました。
観終った時、やっぱり姉妹って羨ましいなあとちょっと思った1本です。
監督:佐々部清 出演:吹石一恵 徳永えり 吉田羊 津田寛治 市毛良枝 西田聖志郎
2013年 日本
(20140531)
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