ラプラスの魔女

東野圭吾著の同名小説を櫻井翔主演で映画化したサスペンスです。
原作を読んでいたので、あの物語をどんなふうに映像化したのか気になっていました。
静かな雰囲気の中に見え隠れする謎と独特の陰鬱に彩られた作品でした。

山間の温泉地で、旅行客の男性が硫化水素中毒により死亡するという事故が起きました。
この地の危険性の調査を依頼された大学教授の青江（櫻井翔）が現地を訪れます。
事故現場を案内された彼は、この地形と状況から見て致死量の硫化水素が一箇所に溜まることは
通常ではあり得ないと判断します。
東京から来た刑事・中岡（玉木宏）から事件性を問われても、それをあり得ないと否定しました。

でも、新たに全く別の温泉地で硫化水素中毒の死亡事故が発生し、青江教授は再び調査を依頼されます。
偶然でもほとんど0に近い確立の発生率なのに、故意で中毒死を狙うなど青江には考えられません。
そんな中、彼は前の現場近くにも居た赤いコートの少女・円華（広瀬すず）を再び見かけます。
そして、彼女が青江に接触してきた時、事態は大きく動き始めました。

それにしても、暗いトーンの作品ですね～
実はこの作品の前に『いぬやしき』を観たのですけど、そう言えば類似点があるなと感じました。
日常から逸脱するほどの特殊能力を身に付けてしまった2人がいるところや
一人は復讐に燃えていて、もう一人がそれを止めようとしているところなど。
でも、『いぬやしき』がエネルギーに溢れた派手なアクションで見せる作品なのに対して
『ラプラスの魔女』は全体的に低温でミステリアスな印象を受けるサスペンスでした。

あ、でも映像も音楽も大人な雰囲気で、それはそれで興味深かったです。
『いぬやしき』で空を見上げるのは主人公たちの飛翔する青空なのに対して、『ラプラスの魔女』は月虹です。
異常なほど自己中な父から全否定された息子の抱く哀しみを見つめるように、夜空に美しく輝いていました。

俳優陣の演技も良かったです。
特に広瀬すずちゃんと豊川悦司さんはさすがですね～　表情一つで観るものを惹き込みます。
台詞が少なめな分、表情をじっくりと見せれくれる演出は好きでした。

物語的にはカタルシスを感じるような展開にはならないのですけど、
特殊能力を持ってしまった2人の行く末がとても気になりました。
観終った時、いつかこの続きの小説も出して欲しいなあと思った1本です。



監督：三池崇史　出演：櫻井翔　広瀬すず　福士蒼汰　志田未来　佐藤江梨子　TAO　玉木宏　高嶋政伸　檀れい　リリー・フランキー　豊川悦司
2018年　日本
（20180513）

→公式サイトはこちらへ　http://www.laplace-movie.jp/