「ライ麦畑でつかまえて」のJ・D・サリンジャーの半生を描いたドラマです。
この人の本は昔に「ナイン・ストーリーズ」を読んだきりでしたけど、予告編を観て気になっていました。
サリンジャーの人生をたどる物語は彼の複雑な心情を丁寧に伝えていきました。
20歳のサリンジャー(ニコラス・ホルト)は自分が何をすべきなのか思いあぐねていました。
それまでも何度も退学を経験していた彼は、作家になることを思いつきます。
商売で身を立てた父(ビクター・ガーバー)は反対しますけど、母(ホープ・デイヴィス)は息子の夢を応援します。
そして、コロムビア大学の創作文芸コースでウィット・バーネット教授(ケヴィン・スペイシー)と出会いました。
バーネット教授は自分に真摯に向かってくるサリンジャーに厳しいことを言いつつも目を掛けます。
教授の言葉を信じながら何度も短編小説に挑んだ彼は、ついに教授の認める短編を書くことが出来ました。
短編が雑誌にも掲載されて高嶺の花だったウーナ・オニール(ゾーイ・ドゥイッチ)との恋も実を結び始め
ようやく道が開けてきたと感じた時、世界は大きな戦争へと突入してしまいました。
それにしても、戦争は本当にあらゆる世界を狂わせましたね。
サリンジャーも兵士として闘った戦争で深く心を傷付け、生還後も苦しみ続けます。
病院に通っても、ありきたりの言葉しか言わない医者に見切りをつけた彼の姿は痛々しかったです。
その後、瞑想により心の平和を取り戻す道を見つけた姿には、ちょっとほっとしました。
でも、彼の心の平和は信じていた人の裏切り等で何度も大きく乱されてしまいます。
苦しい日々の中で心を癒し自分を見つけるために書いたのが小説なのも納得でした。
そして、終の棲家と人生を見つけられて本当に良かったと感じました。
繊細な彼には、この世界は生きるのが大変だったのかも知れません。
そんな彼の小説が多くの人に受け入れられているのも分かるなあと感じました。
観終った時、もう一度サリンジャーの本を読んでみたいなあと思った1本です。
監督:ダニー・ストロング 出演:ニコラス・ホルト ケヴィン・スペイシー ゾーイ・ドゥイッチ サラ・ポールソン ホープ・デイヴィス ルーシー・ボーイントン ビクター・ガーバー
2017年 アメリカ 原題:REBEL IN THE RYE
(20190214)
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公式サイトはこちらへ https://www.rebelintherye-movie.com/