私の休日の楽しみのひとつ、家で読んだ単行本の中で面白かった本の感想です。
今回は“しゃばけ”シリーズ第19弾の最新刊『いちねんかん』です。
『いちねんかん』 畠中恵/著 新潮社大店の廻船問屋兼薬種問屋・長崎屋の一人息子だけど病弱ですぐに寝込んでしまう
気の毒な若だんなが主人公の大人気シリーズです。
祖母が大妖という血筋の若だんなの周りには彼を慕う妖たちがいっぱい。
中でも齢千年を超えるパワフルな仁吉(白沢)と佐助(犬神)は心配性で、
若だんなの命が助かれば他には何が起きてもOKという妖らしい精神で若だんなを支えています(^^ゞ
今回の新作は両親が1年間の湯治に出かけて若だんなが留守を任されるという物語を綴った短編集です。
いくら番頭や手代たちがしっかりしているとは言え、両親が旅立ち一家の支えが
頼りなさそうな若だんなになると店は落ち着かなくなり…
悪い人間に騙されたり、悪い人間が寄ってきたり、厄介な妖がやってきたりとトラブルが続きます。
その度に若だんなと彼を支える仲間たちが長崎屋と店の人々を守るために頑張ります。
このシリーズを読んでいていつも思うのは、生きることは大変だということです。
江戸の生活の中には辛いことや厳しい出来事も多く登場します。
トラブルの結末も、上手く解決されないこともあります。
それでも、出来るだけ良い方向の結末を迎えるために熱が出るほど考える若だんなの努力と優しさに
惹かれながら読んでいます。
今回の短編集の中では「おにきたる」と「帰宅」がすごくスリリングで面白かったです~
今年になってシリーズを読み返しています。
外へ出かけたいけどすぐに病気になるからダメと言われて家の中で過ごしている若だんな。
友達が少なくて寂しい想いを抱えている彼の境遇は、
このコロナ禍の私たちにちょっと似ていると感じました。
でも、寝込みながらも必死に自分の出来ることを頑張る若だんなは、けなげでいい人です。
妖たちが好きになってしまうのも納得ですね(^^)
今回も色々あったけど若だんなたちは乗り切りました。
読み終わった時、早く続きが読みたいなあと今回も思ってしまった1冊です(^^ゞ
(20200723)
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