私の日々の楽しみのひとつ、通勤電車の中で読んだ文庫本の中で面白かった本の感想です。
今回は『手のひらアストラル』です。
『手のひらアストラル』 吉野泉/著 創元推理文庫高校二年生の主人公が送る日常をその片隅で出会う不思議な謎と共に描いた青春ミステリです。
この物語は『放課後スプリング・トレイン』の続編です。
『放課後スプリング・トレイン』では高校2年生になった主人公・泉と親友・朝名が
放課後に街へ繰り出すところから始まります。
朝名から彼氏を紹介したいと誘われた泉は、恋人の上原と彼の友人の飛木と出会います。
大学院生の飛木は少し前に泉と朝名が電車で出会った女性の行動の不思議な謎を解き明かしました。
その後、機会があるたびに泉は飛木に謎を問いかけていきます。
そして『放課後スプリング・トレイン』の最期のトリックの解答が明かされた時、
ちょっと可愛らしさと爽やかな青春を感じました。
『放課後スプリング・トレイン』が春の物語だったら、『手のひらアストラル』は夏の物語です。
2年生の夏休みになると真面目な高校生は大学受験を意識し始めます。
朝名は自分の将来を恋人と同じく教師と定め、目指す大学も決めてオープンキャンパスに参加します。
一方の泉はまだ具体的な進路を決められません。
とりあえず近所にある大学のオープンキャンパスに参加しますけど、希望学部までは選択できず…
さらに大学の模擬授業を受けて学問の奥深さを感じると、泉の迷いも深まってしまいます。
そんな悩み中の泉に解決の糸口を見せてくれるのが飛木さんです。
身近な謎を解き明かしずつ、彼女の迷いも解していきます。
そして『手のひらアストラル』の最期のトリックの解答が明かされた時、
二人の関係が少し近付いた気がしました。
『放課後スプリング・トレイン』は2016年刊で『手のひらアストラル』は4年半後の出版です。
もちろん、『放課後』を読み返してから『手のひら』を読んだのですけど、
結局はもう一度『放課後』→『手のひら』と2回ずつ読んでしまいました(^^ゞ
前作同様、今回も小さな謎と大きな謎が面白かったです。
読み終わった時、次はもう少し早く彼らに逢いたいなあと続きが楽しみになった1冊です。
(20201124)