私の日々の楽しみのひとつ、通勤電車の中で読んだ文庫本の中で面白かった本の感想です。
今回は『三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚』です。
『三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚』 野村美月/著 文春文庫三途の川を渡る前、人生最後に行くことが出来る書店を巡る物語です。
この物語の世界には三途の川を渡る前に亡くなった人が立ち寄れる町があるそうです。
ここでは川を渡る前にどこかの店で1つだけ買い物が出来ます。
おらんだ書房に立ち寄る人は、それぞれの理由で本を求めてきました。
目次は
第一話「本が大好きな三田村祐介様(享年三十四)の場合」
第二話「でんぐり返る本を探してる越野園絵様(享年八十六)の場合」
第三話「空っぽのおなかをかかえた、空っぽな目の初芝泪衣様(享年四)の場合」
第四話「呪いの本を求めてやってきた尾崎純香様(享年三十五)の場合」
第五話「描けない人気漫画家司七彦様(享年四十一)の場合」
第六話「世界で一番退屈で、つまらなくて、どうでもいい本をご所望の鈴木藍理様(享年十六)の場合」
本が好きな人も、それほど好きではない人も登場します。
なぜ、おらんだ書房に惹かれるのか分からない人もいます。
それでも、お客さんの過去を辿って行くうちに1冊の本にたどり着きます。
詐欺師っぽい笑顔の店主とギャルソン姿のアルバイト少年のコンビもちょっと楽しいです。
何と言っても、最初の物語の主人公・三田村さんにはやられました~
とにかく本の虫。朝から晩まで、もちろん休日も、時間があればひたすら本を読んでいます。
本を読むことに時間をかけている分、人付き合いの時間も削っていてデートの時間も無し。
周りからは残念な人と言われている人です。
それでも、本への情熱は止まることは無く、泣けてくるほど本への愛を貫き通していました。
私も本や映画が無いと生きていけない気がしますけど、彼には負けるだろうな。
読み終わった時、最後の1冊だったら私は何を選ぶだろうなあと頭がぐるぐるした1冊です。
(20201211)