私の日々の楽しみのひとつ、通勤電車の中で読んだ文庫本の中で面白かった本の感想です。
今回の本は『水野瀬高校放送部の四つの声』です。
『水野瀬高校放送部の四つの声』 青谷真未/著 ハヤカワ文庫高校で放送部に入部した4人の生徒の物語です。
目次は
第一話 四番の背中
第二話 晴天の競馬実況
第三話 舞台袖から遠くの君へ
第四話 消えない言葉 です。
3年生の春に野球部を辞めて放送部を作った巌泰司。
中学の時は演劇部で高校に入ると放送部へ入部してきた新入生の赤羽涼音と白瀬達彦。
そして、競馬実況を口ずさみながら登校するという不思議な特技を持つ2年生の南条梓。
4人の心の中にとどまり続ける悩みと想いと希望が四つの物語で紡ぎ出されていきます。
心にある言葉は声に出さないと相手に伝わらないのですけど、
相手の心が解らないと怖くて伝えられなくて、ついつい心の中にしまってしまうことがあります。
でも、そういう言葉や想いは強くなればなるほど、考えすぎてしまって行き違いが起きたりすることも…
同じ部の仲間という絆で結ばれた4人の知恵と想いが重なった時、彼らの心の重荷が
少しずつ解かれていく展開が良かったです。
読み終わった時、言葉のパワーを改めて実感した1冊です。
(20210721)