中東でテロリストを追っている諜報活動を描いたリドリー・スコット監督最新作です。
誰を信じて良いのか分からなくなるような展開にドキドキでした。

欧米で連続爆弾テロが発生した。被害は甚大で複数の国に及んでいた。
実行したと思われるテロ組織の首謀者を発見するために、CIAは必死の諜報活動を行なっていたが、
いまだにその人物を捕らえることは出来ていなかった。
中東で諜報活動をしているフェリス(レオナルド・ディカプリオ)にもそのニュースは届いていた。
彼は情報を入手するために、現地スタッフの仲間と共に敵のアジトへ乗り込んだ。
現地人に上手く化けたつもりだったが、警戒したテロリストに攻撃を受けてしまう。
なんとか情報の入ったディスクを入手するのだが、爆発で怪我を負った挙句、仲間は死んでしまった。
アメリカにいるエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)は、フェリスからの仲間の家族への補償をあっさりと断り、
落ち込むフェリスに向かって、今度はヨルダンへ行けと指示をした…

最近アクションが多いレオナルド・ディカプリオは今回も傷だらけでした。
そして、命の補償の無い仕事とは言え、一瞬でかけらになってしまった仲間にはショックでした(T_T)

現地で命を懸けて活動をしている腕の良い諜報員フェリス。
アメリカで家族との平和な暮らしをしつつ、常に電話で指示を与えている上司ホフマン。
現地に精通し、嘘は許さないと言い切るヨルダン情報局ハニ・サラーム。
彼らの織り成す三つ巴の嘘合戦は見応えがありました。

ホフマンは家にいても家族サービスをしていても常に電話で連絡できるように
耳にイヤホンをつけているしゃべり続けている人です。
映画を観ている時は忙しい人だなあという感じを受けたくらいですけど、よく考えるととても怖い人でした。
娘の写真を撮りながらテロ対策を指示するなんて、やっぱり人として何かが壊れている気がします。
しかも指示することが冷酷な上に、結果を急ぐために性急に動いて失敗するし。
こんな上司だったら絶対に仕事を変わりたくなるだろうなあと思うような上司でした(T_T)
じっくりと物事を進め、慎重にテロ組織の内部へとスパイを放っていくヨルダン情報局ハニとは対照的で、
その点もちょっと興味深かったです。

観ていて凄いなあと思ったのは衛星による画像です。
あんなに簡単に対象を追ってしまえるのですね。
どこまで本当かは分からないですけど、街中の雑踏でもすぐに追跡できるなんて
逃げようが無いなあとしみじみ思ってしまいました。
でも、そんなハイテク機器による情報戦も、電話やネットを使わない人の手による昔ながらの伝達には
歯が立たないというのはなるほどですね。
あと、砂漠で車を使って煙幕を張るのも衛星の目で見ていると効果があるのだなあと面白かったです。

『地球が静止する日』でも思いましたけど、やっぱり電話で指示するだけの人って厭だ~と思った1本です(^^ゞ



監督:リドリー・スコット 出演:レオナルド・ディカプリオ ラッセル・クロウ マーク・ストロング ゴルシフテ・ファラハニ
2008年 アメリカ 原題:BODY OF LIES
(20081223)