小学生のヨシオ(深澤嵐)は今朝も玄関から右に行くか左に行くか迷っていた。
学校への途中で会いたくない二人組のいじめっ子がいたのだ。
だが、今朝も二人組は学校手前の空き地でヨシオを待ち構えていた。
逃げる友達たちを尻目にヨシオは二人組へ真っ直ぐに向かい、そして殴られた。
誰もが泣くという執拗ないじめにも歯を食いしばり、ヨシオは倒され続けても決して泣かなかった。
普段は一緒に遊ぶ友だちも二人組を前にするとさっさと逃げ出して一緒に立ち向かうことはない。
そんな孤独な心を抱えたヨシオの唯一の友は、ヨシオにしか見えない“いけちゃん”だった…
CGキャラクターのいけちゃんが意外に表情豊かでキュートでした~
少年が大きく成長したひと夏の出来事を子ども特有のリアルな雰囲気で描いている作品です。
一昔前の懐かしい暮らしの中で、生き生きとした小学生の生活が映し出されていました。
殴り合いの喧嘩をする子どもたち。裏山のピクニック。みんなが好きな牛乳ビン。空き地で行なう草野球。
どれもが今では中々お目にかかれないものばかりです。
物語の初めの方はあまりにも無敵ないじめっ子にヨシオがいじめられ続けるので
一体この物語はどうなるのだろうと心配してしまいました(^_^.)
でも、ヨシオは世界中にいる“人よりも早く大人にならざるを得ない子ども”の一人なのです。
次第に彼は世の中には強い者の上にはさらに強い者がいて、その連鎖は無限に続くと悟ります。
そして、その連鎖を断ち切るためにも、自分に強さが欲しいと願うのです。
そんなヨシオの逆境にも立ち向かおうとする根性が見事で、
観ているうちにいつの間にか応援していました(^^ゞ
また、そんな立派な(?)ヨシオに対して周りの大人たちは不甲斐無いです。
父は浮気の果てに死んでしまうし、父亡き後一人でがんばる母はついヨシオに厳しくしてしまいます。
小学校の先生も、ヨシオに対するいじめに気付いているのかいないのかよく分からないし、
唯一頼りになりそうなのは、空手好きな牛乳屋の店主(モト冬樹)くらいかも知れません(笑)
ある意味リアルな大人たちが登場していました。
それにしてもヨシオを演じた深澤嵐くんは本当に演技が上手くなりましたね~
彼が上手いからこそ、小学生なのに妙に大人びた台詞回しを言っても
なるほど~と思いながらドキドキして観ていました。
また、CGのいけちゃんの声を演じた蒼井優さんが本当にぴったりで
こんないけちゃんに出会いたいなあと思ってしまいました(^^ゞ
最初からいけちゃんの正体は分かるようなシーンから始まるのですけど、
分かっていても観ていてやっぱり切なかったです。
いけちゃんに出会いたいと同時に、いつかいけちゃんになりたいなあと思った1本です(^^)
監督:大岡俊彦 出演:深澤嵐 蒼井優(声) ともさかりえ 蓮佛美沙子 モト冬樹 萩原聖人
2009年 日本
(20090609)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は6月20日以降の予定です。