緑の美しい田舎町で育ったジェイン(アン・ハサウェイ)は物書きが得意で作家を夢見る少女。
でも、18世紀のイギリスでは、女性に求められているのは才知ではなく従順と控えめな態度で、
女性が作家になるなど狂気の沙汰だと思われていた。
折りしも、結婚適齢期の彼女の前に両親が結婚相手として望むには理想的な相手が現れた。
裕福な財産をもつ貴族階級のウィスリー氏(ローレンス・フォックス)だ。
活発で明るいジェインに心惹かれたウィスリー氏は彼女と親しくなりたいと思っているのだが上手く行かず、
彼女も不器用で才気の無いウィスリー氏を愛することは出来ないだろうと思っていた。
ある日、オックスフォードを卒業して帰郷した兄と共に
友人のトム・レフロイ(ジェームズ・マカヴォイ)がやって来た。
都会の洗練された広い知識を持つ遊び人のトムは、ジェインの朗読を厳しく評価する。
これまで井の中の蛙であったと悟った彼女は酷く心を傷つけられ、トムへの第一印象は最悪となった。
だが反面、どうしても目の話せない男として、彼の存在が心の中に少しずつ大きくなっていった…
主人公の誠実な愛の強さがひしひしと伝わってきました。
女性が生きていくためには結婚するしかなかった時代。
裕福な貴族に結婚を申し込まれたら、相手が愛せない男でも当然Yesと言うのが当然でした。
でも、ジェインは裕福よりも愛を選びたいと考えます。
彼女には愛せない男と暮らす結婚生活なんて耐えられないと思ったのです。
でも、彼女の母にとってウィスリー氏との結婚を逃すことなど考えられません。
父と母は愛で結ばれた結婚だったのですけど、母は長年の貧乏暮らしに疲れ果てていました。
娘にはこんな苦労をかけまいと、母はウィスリー氏との結婚を必死に説得します。
でも、彼女は母の愛を理解しつつも頷くことが出来ません。
叔父の援助に頼っている財産の無い法律家の卵トム・レフロイと恋に落ちていたのです。
そして、最終的には彼女は結婚よりも、自立をして作家の道を選ぼうと決心しました。
それにしても主人公の恋を考えると、本当に女性が生きていくには厳しい世界ですね。
『高慢と偏見』は大好きですし、小説の映像作品は何回も観ています。
それでも、結婚を経済状況で決めなければならない現実を改めて見ると何て辛いのだろうと感じました。
小説とは違って彼女の愛の行方はあまりにも切なかったです(T_T)
主演のジェインを演じたアン・ハサウェイのキュートさと
彼女と激しい恋に落ちるトムを演じたジェームズ・マカヴォイの情熱的な瞳が印象的でした。
ジェインの愛は哀しかったですけど、彼女が作家として成し遂げたものは大きかったなあと
ちょっと勇気を貰った気がした1本です。
監督:ジュリアン・ジャロルド 出演:アン・ハサウェイ ジェームズ・マカヴォイ ジュリー・ウォルターズ ジェームズ・クロムウェル ローレンス・フォックス
2007年 イギリス/アメリカ 原題:BECOMING JANE
(20091106)