昭和32年の日本は戦後を脱出して活気を取り戻し、高度成長期へと向かっていた。
10歳年上の鵜原憲一(西島秀俊)と見合い結婚をして幸せいっぱいの禎子(広末涼子)は
1週間の予定で金沢へ出張した夫の帰宅を待っていた。
だが、8日に帰ってくると言っていた夫は帰ってこなかった。
心配して夫の会社や憲一の兄・鵜原宗太郎(杉本哲太)にも連絡してみるが、行方は分からない。
何日か待つだけの日々が過ぎた後、たまらなくなった禎子は金沢へ向かうことにした。
だが、金沢で聞いた夫の話は、彼女の知らない夫の姿を浮かび上がらせてきた…
幸せになりたいと願う気持ちが悲劇を巻き起こしました(T_T)
冬の金沢で起きた殺人事件を巡る物語です。
何故、夫は失踪してしまったのか。
何故、次々と殺人事件が起きたのか。
そして、犯人は誰なのか…
結婚1週間で行方不明になってしまった夫を巡るサスペンスは
物語が進むに連れて、辛い時代に生きた女たちの哀しみが浮かび上がってきました。
それにしても、3人の女優さんたちのキャラクターがぴったりでした~
純粋で愛を信じ、結婚に夢を描いている鵜原禎子役に広末涼子さん。
彼女は必死に夫の行方を捜し、やがて事件の真相を知っていきます。
謎の過去を持ち、今では企業家の夫人として華やかさを誇っている室田佐知子役に中谷美紀さん。
彼女は過去の人生を消そうとして、狂気の闇へと落ちて行きます。
そして、やはり謎の過去を持ち、字が読めないのに
何故か会社の受付をしている田沼久子役に木村多江さん。
彼女は素直な心で幸せを求めていましたけど、やがてその幸せは裏切りの中に消えていきました。
3人の女性たちの中で一番強烈な印象を残したのは室田佐知子です。
彼女は幸せのために新しい日本を作ろうとし、必死に初の女性市長を実現させようとします。
女性もちゃんと生きていける社会を夢見た彼女の想いの強さは、彼女の人生の辛さを反映しています。
彼女の喜びの涙と悲痛な叫びは見終わった後も心に残りました。
あと、非道な人に見えて、実は佐知子を深く愛し守ろうとした夫(鹿賀丈史)の愛も印象的でした。
エンドロールに流れる現代の映像を観ながら、改めてこの映画のような過去は
遠い時代ではなかったなあと感じた1本です。
監督:犬童一心 出演:広末涼子 中谷美紀 木村多江 西島秀俊 鹿賀丈史 杉本哲太 崎本大海
2009年 日本
(20091214)