一人暮らしの老人ロバート(マーティン・ランドー)はいつも同じような毎日を送っている。
朝、一人で目覚ましを止めて支度をし、勤め先のスーパーへ。
仕事を終えて帰宅したら、一人で食事を取りベッドへ向かう。そんな毎日だった。
ある日のこと、朝、彼が家を出ると向かいに荷物が運び込まれていることに気づいた。
その様子に気をとられていた彼は、つい玄関のドアを閉め忘れてしまう。
彼がスーパーで働いている姿をひとりの買い物客の女性が気がかりそうに見つめていた。
そして彼が帰宅した時、開け放しのドアから入り込んだらしい気配が家の中から聞こえてきた。
家にいたのは、スーパーで彼を見つめていた女性メアリー(エレン・バースティン)だった…
物語の展開は見えていても、心の準備をしていても、やっぱり愛の終わりはとても切なかったです(T_T)
一人暮らしの老人ロバートは最近とみに孤独感に苛まれています。
ロバートの勤務先のスーパーでは、店長のマイク(アダム・スコット)が何でも相談に乗ってくれるし、
仲間たちは心優しく接してくれます。
それでも家へ帰ればひとり。孤独をひしひしと感じてしまうのです。
そんなロバートのもとに現れた上品な老婦人メアリーは最近、近所に引っ越してきた心優しい女性です。
メアリーと一緒に暮らしている娘のアレックス(エリザベス・バンクス)も
ロバートのことを気にかけてくれて、優しく声をかけてくれます。
そして、ロバートはメアリーと出会ってから少しずつ笑顔を取り戻していきます。
でも、彼には彼自身も気づいていない秘密がありました(T_T)
それにしても喜びも切なさも静かに伝わってくるような物語でした。
淡々と描かれていくロバートの日常が誰でも馴染み深いものなので
観ている方もいつの間にかロバートに同調してしまいます。
彼がメアリーと出会った後、彼がこれまで無表情で行っていた歯磨きを
微笑みながら楽しそうにしているだけで、もうワクワクさせれられました。
そして、そんな静かな心の変化をゆっくりと描けたのは名優のマーティン・ランドーと
エレン・バースティンの二人が落ち着いた演技を見せてくれたからこそだろうなと感じました。
見終わった時、暖かさや切なさが胸の中で静かに響いていました。
ロバートの心の中に最後まで残るのは愛する気持ちだったのかなあとちょっと考えてしまった1本です。
監督:ニコラス・ファクラー 出演:マーティン・ランドー エレン・バースティン アダム・スコット エリザベス・バンクス
2008年 アメリカ 原題:LOVELY, STILL
(20100223)
追伸
この映画は試写会で見ました。公開は3月の予定です。