スクリーンで観るレースの映像はテレビで観ていたよりも凄い迫力で、初めてレースの怖さを体験した気になりました~
アイルトン・セナのF1時代の活躍を、家族やF1スタッフたちの証言、インタビューを元に綴った作品です。
レーシングカートで世界選手権に出た10代の頃が一番純粋にレースに向き合えて楽しかったというセナ。
そんな彼はF1ドライバーとなってからは次第に様々な重圧を感じるようになります。
特に彼が頭角を現し始めると圧力がかかってきます。
その頃の彼のライバルはフランス人のアラン・プロスト。
当時の会長が同じフランス人のため、プロストに目をかけてしまうのです。
そんな中、プロストとの接触事故を起こしたセナは失格処分を受けてしまいます。
この処分は彼に大きなダメージを与えました。
このあたりの事実はF1に疎い私には始めて知ったことだったので、不遇を受けるセナがとても気の毒に感じました。
そして、どんな世界にもある“政治”というものの不公平さがちょっと嫌になりました。
その後、葛藤しながらも優勝への執念を燃やし、合計3度のワールドチャンピオンに輝いたセナでしたけど、
プレッシャーという重圧は常に彼の肩に掛かっていました。
特に、今まで優勝を逃していた自国のブラジルGPで念願の優勝を遂げたレースでは、
後半マシントラブルが起きたにも関わらずにレースを続行しています。
終了直後、彼はストレスから肩や腕などが硬直して動けなくなり、自力でマシンから降りることも出来ませんでした。
必死に喜ぶ観衆に答えようとする彼は、喜びよりも苦痛の表情を浮かべています。
そこまでしても自分の信念を貫いた彼の精神力には圧倒されました。
それにしても、セナという人は本当にブラジルを愛して大切にしていたのですね。
ナイーブそうな顔付きとは正反対のアグレッシブなレースと性格で多くのファンを持つ彼でしたけど、
これほどまでにブラジルの人たちの愛されたのは、みんなが彼に愛されていると感じていたからでしょう。
国民が“小さな希望”という存在が一人の若者だったということも考えさせられるものがありました。
そんな彼の笑顔が事故で消えてしまったことがショックで、その映像を観るのは辛かったです(T_T)
観終わった時、彼はF1に本当に命を捧げてしまったのだなあと思うと共に、
彼が生きることが出来なかったF1という世界はやっぱり歪んでいたのだなあと感じた1本です。
監督:アシフ・カパディア
2010年 イギリス 原題:SENNA
(20101011)
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