服役をして8年の歳月を刑務所で過ごしたゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)は出所した。
家族から嫌われ、仕事とも縁のなくなった彼には迎えの車などなかった。
それから7年後の2008年。アメリカ経済はバブル景気に沸いていた。
ある日、大手証券会社のトレーダー、ジェイコブ・ムーア(シャイア・ラブーフ)は社長から呼び出され、
高額の小切手をボーナスとしてもらう。
前回のトレードでは損失を出したのにと不思議に思うジェイコブに、社長はその金を有効に使いなさいと優しく言った。
社長を心の師と仰いでいたジェイコブは、自分のこれまでの功績が認められたのかと素直に喜び、
早速、恋人のウィニー(キャリー・マリガン)のために高価なエンゲージリングを購入した。
だが、それから何日もたたないうちに会社は破綻し、社長は自殺してしまった…
金の持つ力に魅入られた男たちの人生には、心の豊かさや安らぎがありませんでした。
金と陰謀と復讐の物語です。
前作はマイケル・ダグラス対チャーリー・シーンでしたけど、今回はマイケル・ダグラス対シャイア・ラブーフ。
ただし、今回のシャイア・ラブーフ演じるジェイコブはゴードンの娘ウィニーの恋人です。
ジェイコブはウィニーと真剣に付き合っていて、結婚したいと願っています。
その矢先に勤め先の会社が破綻します。
財産と恩師を失った彼は、なぜ会社が破綻に陥ったのかを知るためにゴードンに近付きます。
今でも裏事情に詳しいゴードンは、陰謀によって陥れられたということを突き止めます。
ただし、その陰謀の裏にいるライバル会社のブレトン(ジョシュ・ブローリン)が関わっていることは分かっても、
その証拠となる明確な流れは上手く解明できません。
そして、ジェイコブにも大きな罠が待ち構えていました。
自分の利益のためには裏切りや他人の人生を崩壊させることなど全く意にしないという人間たちの物語はぞっとするものでした。
ジェイコブはまだ若く、恩師の復讐のために画策をしますけど、恋人ウィニーとの関係を大切にしています。
でも、ゴードンやブレトンの飽くなき欲望というか権力への執着心には終わりはありません。
信頼している人に裏切られることほど哀しいものは無いと思うのですけど、裏切る人々は自分への信頼など意に介し無いのです。
騙すことも騙されることも、まるで人生ゲームを地で行っているように見えました。
それにしても、マイケル・ダグラスも素晴らしい演技でしたけど、
対照的な生き方を望む娘ウィニーを演じたキャリー・マリガンも良かったです。
彼女の柔らかい輪郭の顔付きが、どんなに裏切られても許しを与えられる聖母のような印象を感じさせていて、
荒んだ人生を歩む男たちに微かな希望の光を与えてくれました。
そして、どんなに切り捨てていても、最後の居場所はやはり家族なのだなあと感じました。
観終わった時、こんな人生は怖すぎるなあと思うのと同時に、
それでもこんな世界に憧れる人は多いのだろうなあとしみじみ感じた1本です。
監督:オリヴァー・ストーン 出演:マイケル・ダグラス シャイア・ラブーフ キャリー・マリガン ジョシュ・ブローリン イーライ・ウォラック スーザン・サランドン フランク・ランジェラ
2010年 アメリカ 原題:WALL STREET: MONEY NEVER SLEEPS
(20101215)
→公式サイトはこちらへ http://movies.foxjapan.com/wallstreet/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は2月4日以降の予定です。