山手線の駅から少し遠ざかった町の片隅にある洋菓子店コアンドルには、今日もケーキを求める人々がやって来ていた。
シェフの依子(戸田恵子)を中心に3人だけで切り盛りをしている小さな洋菓子店だったが、
ガイドブックに載るほどの美味しさを誇り、リピーターの人気も高い店だった。
ある日、大きなトランクを持ったなつめ(蒼井優)が鹿児島から店を訪ねてきた。
ここで働いているはずの恋人・海くん(尾上寛之)を鹿児島へ連れ戻しに来たのだ。
だが、彼は既にこの店を辞めた後で、その後の行き先は誰も知らなかった。
途方に暮れたなつめは依子にここで働かせて欲しいと必死にお願いをした。
彼に会えなければ、本当に行き先が無いのだ。
自分はケーキ屋の娘だと言うと、腕試しのケーキを作って店の人たちと
たまたま居合わせた料理研究科の十村(江口洋介)に食べてもらった。
だが、一口食べた彼らは何も言わずに顔を背けた。
そして、彼らの心を代弁するように、うちではクリスマスに街頭で売るようなケーキは作らない」と
依子に言われてしまった…
登場するケーキがみんな素敵でした~
恋人を失い、洋菓子職人という仕事の難しさを感じながらも、懸命に前を向いて進もうとする一人の女の子の物語です。
最初、なつめが働き始めたのは、東京での居場所と職を求めてです。
地元ではケーキ屋として店のケーキを毎日作っていたという彼女も、コアンドルの味の美味しさに感動を覚えます。
みんなに自分のケーキを却下されて落ち込んでいる時でも、依子の出したケーキを一口食べて
美味しい!と驚きの声をあげるのです。
そんな彼女は、この店の味を覚えるからと必死に頼み込み、ここで働き始めました。
そんななつめはすぐに壁にぶつかります。
仕事が上手く出来ないことと、先輩のマリコ(江口のりこ)と全くうまが合わないことです。
特に、冷たい態度をとるマリコとは喧嘩をしてばかりで、そのことでは依子にも叱られてしまいます。
でも、彼女は空いている時間や休みの日に練習や研究を重ね、試作品を作るまでになっていきます。
相変わらずマリコとはダメなのですけど、依子や常連客の芳川さん(加賀まりこ)には
その存在を認められるようになってきました。
それにしても、なつめは不思議な子でした。
可愛いようでいて、めちゃくちゃ頑固。
相手には真っ直ぐに向かっていくので、当然のように衝突してしまいます。
先輩のマリコや伝説だったパティシエの十村とも、激しくぶつかります。
それでも、その不器用なストレートさに相手も心を動かされていきます。
そんななつめに蒼井優さんはぴったりでした。
また、彼女とぶつかってばかりのマリコを演じた江口のりこさんをはじめとする役者さんたちも
みんなキャラクターにぴったりで良かったです(^^ゞ
いろいろ登場するお菓子たちも本当に美味しそうでした。
みんなが一生懸命に作り上げていくお菓子たちの美しさに、職人魂を感じたのと同時に
こういうお菓子が人に幸せを与えるのだなあとしみじみ思った1本です。
監督:深川栄洋 出演:蒼井優 江口洋介 戸田恵子 江口のりこ 尾上寛之 佐々木すみ江 加賀まりこ
2010年 日本
(20110126)
→公式サイトはこちらへ http://www.coin-de-rue-movie.com/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は2月11日以降の予定です。