南イタリアのカラブリア州にある山間の小さな村を舞台に描いたドラマです。
山羊の演技がすごいという噂を聞いてとても気になっていました。
ほとんどドキュメンタリーのように感じられる展開の中で、
流れ行く自然と共に生きている生き物たちが愛しく感じられるような作品でした。
自然の中から生まれるユーモアが微妙にツボでした(^^ゞ
炭焼きの煙の向こうから山羊の鳴き声が聞こえる小さな村の物語です。
この村で暮らす山羊飼いの老人は、毎日愛犬と共に山羊を山へ連れて行きます。
彼は肺を患っているのか、いつも咳をしています。
坂道を歩くのも辛そうです。
そんな彼は、毎晩、寝る前に粉薬を水に溶かして飲んでいます。
朝、老人は山羊の乳を教会へ届けます。
そのまま事務所で待っていると、礼拝堂を掃除していた老婦人が事務所へ入ってきて
塵取りから塵を少し取ると、雑誌を半ページ切り取り、老人の目の前で包みました。
彼はその塵を大切に薬として毎晩飲んでいたのです。
そして、そんな純粋で信心深い老人にも死を迎える時がやって来ました。
その後もストーリーは、老人の死の翌日に産まれた1匹の山羊の赤ん坊の物語や
その仔山羊が寄り添うように眠った大きな木の物語へと繫がって行きます。
その、死をも一つの自然の流れのように見せてくれる展開には、何故かとても安らぎを感じました。
それにしても、癒される作品でした。
台詞も全くなく、自然の音に溢れている作品の為か、とてもリラックスしてしまいます。
ほとんどドキュメンタリーのような映像からも、ユーモアと自然の優しさを感じました。
あまりの心地よさに眠ってしまっても、それはそれでOKという気がするほどでした(^^ゞ
今週は個人的に急な異動など、予期しないことでバタバタしていましたけど、
この映画を観て、一気に忙しさを忘れることが出来ました。
週末を前にリフレッシュできたなとちょっと嬉しかった1本です。
(20110512)
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