音楽を愛する高校生のアヤ(桜庭ななみ)、カイ(森崎ウィン)、ヨシキ(野村周平)の3人は途方に暮れていた。
学校の近所から苦情が来て、学校ではバンドの練習が出来なくなってしまったのだ。
そんな時、アヤは学校の裏にある高校生ご用達の弁当屋の脇に、屋根のあるスペースを見つける。
こんなところで練習できたら…という呟きを聞いた弁当屋の主人・大城陽(阿部寛)は
気軽な気持ちで彼女に使っていいよと承諾を与えた。
早速、喜びながら集まった3人だったが、大城は練習を始めた彼らの音の大きさにびっくりする。
しかも、すぐに近所から苦情が来てしまった。
ガッカリしながら立ち去る彼らに、大城は声を掛ける言葉も無かった…
ただ高校生を応援したいと願う強い気持ちは、彼らに真っ直ぐに届いていきました。
バンドを練習したいと願う高校生たちのために、自費を投じてスタジオを作り、
彼らの活動を支えた弁当屋の主人・大城陽の物語です。
大城は、自分が子供の頃は大人がいろいろと世話をしてくれたが、今の子供たちには
そういう大人がいないと感じ、ひとりで動き始めます。
一人でコンクリートブロックを積み重ねながらスタジオを造り始めた彼の周りには、
いつの間にか自主的に手伝いを希望する高校生たちが集まってきました。
やがてスタジオが完成すると、大城はスタジオを使用する際のルールを決めます。
挨拶をすること。礼儀正しくすること。赤点は取らないこと等々、高校生として大切なことばかりです。
子供たちを甘やかせるのではなく、彼らを見守りながらその心を育てていくなんて
なんていい人だろうと思いながら観ていました。
端から観たらお節介な大人になってしまいそうですけど、邪念の無い気持ちで高校生たちと付き合っているので、
高校生たちも素直に聞いてくれます。
そして、大城の真摯な営業のおかげで、スタジオを作るきっかけとなったアヤたちのバンドが
高い人気を得るようになって来ました。
でもその時、大城の身体の中にはガンが巣くい始めていました…
それにしても、本当に心が洗われるような物語でした。
つっこみどころは色々あったのですけど、そんなことは主人公をはじめとする純粋さの前では
瑣末なことになってしまいました。
そして、そんな主人公を演じた阿部寛さんの熱演や、主人公を支える妻を演じたミムラさんの笑顔、
そして何と言っても、桜庭ななみさんの爽やかな存在感が楽しかったです。
彼らのライブシーンには、いつの間にか応援させられてしまいました(^^ゞ
子供たちが未来や夢を信じられる社会を願い、その夢をかなえるための場所を作ってあげるなんて
改めて凄い人だったのだなと感じました。
観終った時、彼らのように明日からもうちょっと元気になりたいな~と感じた1本です。
監督:熊澤誓人 出演:阿部寛 ミムラ 桜庭ななみ 矢野聖人 森崎ウィン 野村周平
2011年 日本
(20111004)
→
公式サイトはこちらへ http://yell-movie.com/