定年間近の鉄道運転手・滝島(三浦友和)がこれまでの人生を見つめ直していく物語です。
富山の美しい風景が印象的でした。
滝島は仕事一筋で42年間働いて来ました。運転手として35年間無事故無違反の立派な成績を誇ります。
でも、家に帰れば“風呂めし”タイプの夫で、家事などはすべて妻任せです。
また、運転手の業務は勤務時間がいろいろあるので、それに合わせてなくてはならない妻には
かなり負担のある生活を強いて来ました。
滝島は定年後に何をしたいか、まだ明確な考えを持っていませんでした。
ある日の帰り道、定年後は妻と旅行でもと思い立って旅行のパンフレットを貰って来ます。
でも、それを見せた妻には“そういうことではない”と言われてしまいます。
妻としては、運転手の夫の世話という状況から解放された後は自分も働きたいと考えていたのです。
彼女は看護師でしたが出産を機に退職し、その後は家事と母の介護に追われて家から出られなかったのです。
そして、そんな彼女の働きたいという願いは夫にはまったく理解の出来ないものでした。
妻が家を出て離婚届を置いて行った時、滝島は初めて妻が自分の許に戻ってこないかもと思い始めます。
そして、自分の生き方はどうだったのか、何故、妻が働きたいと思ったのかを考え始めます。
その悩みの答えは、これから自分が本当は何をしたいのかという答えにも繋がっていきました。
それにしても、日本の夫婦&日本の風景だなあと感じる作品でした。
頑固で頑張り屋だけど自分しか見えてない夫。
夫を愛して支えつつも、自分の人生に疑問を持ってしまった妻。
そんな夫婦が出した答えはとても優しくて温かいものでした。
そしてその温かさは美しい風景の中を走る富山地方鉄道に乗せて、スクリーンに広がっていきました。
エンドロールに流れる列車からの風景が何とも素敵でした。
観終わった時、こういう映画を年末に観られるのっていいなあとちょっと感じた1本です。
監督:蔵方政俊 出演:三浦友和 余貴美子 小池栄子 中尾明慶 吉行和子 塚本高史
2011年 日本
(20111111)
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公式サイトはこちらへ http://www.railways2.jp/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は12月3日以降の予定です。