どんどん厳しくなっていく展開に、胸が締め付けられました(T_T)
ヤン(ギョーム・カネ)は大衆食堂で働く、しがないコックです。
彼はもっとスキルを上げたいと有名レストランに自分を売り込みに行きますけど、
彼が働いているような食堂の業務では、ちゃんとしたコックとは認めてももらえません。
彼は自分の能力を認めようとしない世間に怒りを覚えます。
でも、ヤンはその有名レストランで素敵な女性ナディア(レイラ・ベクティ)と出会います。
ホールを担当している彼女はキュートな笑顔を見せる若い女性ですけど、実はシングルマザーでもありました。
その事実を知ったヤンは一瞬とまどいますけど、意外にすんなりと子供共々彼女を受け入れます。
そして、ナディアや彼女の息子を連れて遊びに行った湖のほとりで売り出し中の物件を見つけ、
そこを改修してレストランにしようと考えます。
自分の能力を発揮できる自分のレストランという夢に取り付かれたヤンは頭金を作るために
銀行の融資以外に無謀な借金を重ねてしまいます。
どうにかなると甘く考えていた彼は、やがて自分の借金が返せないくらいに膨らんでいることに気付きます。
相談員には、とにかく早く売ることだと言われても、諦めるには夢が素敵過ぎました。
やがて、借金を苦に彼が荒れたことで、ナディアとの関係も壊れていきます。
そんな時、彼の前には甘い言葉をかける男の罠が待っていました。
それにしても、厳しい現実でした。
孤独を背負ってきたヤンの抱いたささやかな夢が彼の人生を壊していきます。
それはちょっと無謀で、彼自身も甘かったかも知れません。
でも、彼にはそれしか人生の希望が無かったのです。
ただ、彼が家族の縁に薄い人だっただけに、同じような境遇と思われるナディアや
彼女の息子を見捨てなかったことが彼にとっての救いでした。
そして、そのことが彼の人生を取り戻すきっかけになっていきました。
ラストでは少しでも希望を感じられるようなシーンが観られてほっとしました。
これからも厳しい現実が待ち構えていそうなのですけど、
それでも彼はきっとやり直せるだろうなと感じた1本です。
監督:セドリック・カーン 出演:ギョーム・カネ レイラ・ベクティ スリマーヌ・ケタビ
2011年 フランス 原題:A Better Life/ Une Vie Meilleure
(20111026)
追伸
この映画は第24回東京国際映画祭で観ました。公開予定は2013年2月9日です。