国全体が戦争に向かっていこうとする圧倒的な雰囲気がとても恐ろしかったです。
戦争に反対の考えを持ちながらも、指揮官となった司令長官・山本五十六の物語です。
彼は広い視野で世界を見る心を持っていて、日本の国力とアメリカの国力の格差や
世界情勢における日本の立場を自分の考えを持って感じることの出来る人でした。
対アメリカに戦争を起こした場合、日本がどんな状況に陥るかも理解していました。
それは一般に言われているような調子の良いものではなく、破滅のような深刻な事態でした。
戦争に勝ち続けて資源の無い国を広げていこうとする軍。
不景気の世の中に活気を望む市民。
戦争を望む声を扇動するように紙面を作っていく新聞。
そんな中、山本がどんなに理論を持って反対意見を述べても
日本が太平洋戦争へと向かう勢いは止められませんでした(T_T)
それにしても、何も知らずに戦争へ向かっているというのは怖いことですね。
無条件にそれが正しいと信じてしまっている事態が怖かったです。
戦争を景気向上の機会としか考えない人がどれほどいたのかは分かりませんけれど、
実際に戦場へ送られてしまった人たちには、景気など関係ないです(>_<)
今でも世界の中には戦争が金儲けになるという考えを持つ人はたくさんいるのかも知れません。
でも、戦争は人や国や文化を壊し、未来を担う若者を殺し、
消えることの無い哀しみをもたらすものだということを改めて考えさせられました。
戦争映画で戦闘や死のシーンもありましたけど、ラストシーンは静かな印象を受けました。
見終わった時、この静けさは全ての戦争の犠牲者へのレクイエムなのだろうなと感じた1本です。
監督:成島出 出演:役所広司 玉木宏 香川照之 柳葉敏郎 阿部寛 吉田栄作 椎名桔平 五十嵐隼士 中原丈雄 坂東三津五郎 柄本明 伊武雅刀
2011年 日本
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公式サイトはこちらへ http://isoroku.jp/追伸
映画館の窓口で「“やまもとごじゅうろく”ください」と言っている男の子たちがいました。
その時はうわーっと思ったのですけれど、そういう男の子たちにこそ観て欲しい映画かもと後で思いました。
そこまで何も知らずに、でもこの作品を観ようとしているチャレンジ精神はniceかな(^^ゞ