世界の映画祭で高い評価を受けた、ある老夫婦の愛の姿を描いた人間ドラマです。
アカデミー賞でも話題になっていたので、どんな物語なのか気になっていました。
ハネケ監督作品は初めてだったのですけど、深く考えさせられるような物語でした。
夫婦の愛の終着地はそこですか…と考えてしまいました。
パリ在住の老夫婦の日常から始まる物語です。
ジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)はご機嫌な朝を迎えていました。
昨夜はアンヌの教え子で人気ピアニストのアレクサンドル(アレクサンドル・タロー)のコンサートへ行き
素敵な演奏に酔いしれて、教え子の成功を心から嬉しく思える時を過ごしたのです。
翌朝の朝食の席でアレクサンドルがCDを送ってくれると言っていたけどやっぱり買いに行こうかななどと
二人で話していた時、アンヌに異変が起きました。
そして、フリーズしたように急に動かなくなり、何の反応もしなくなってしまいました。
ジョルジュは水道の蛇口を開けてタオルを水に浸し、アンナの顔に付けてもみましたけど
彼女ははやり何の反応も見せません。
慌てた彼が蛇口を開けたまま別の部屋へ行っていたところ、ふと水の音が途切れました。
いつの間にかアンナが元に戻っていて、水を出しっぱなしにしていることに文句を言っています。
ジョルジュが今起きたことを問い質しても、アンナは全く覚えていませんでした。
アンナの異変は脳の発作が原因でした。
結局、大きな発作が起きてしまったアンナは病院での治療の甲斐も無く半身不随になってしまいます。
車椅子で退院をしたアンナはジョルジュに、もう病院へは行きたくないと訴えます。
その意思を尊重した彼は、その日から妻の介護をしながら暮らす日々が始まりました。
それにしても、何だかリアルに感じる物語でした。
老老介護などの現代的な問題と共に、個人の意思の尊重や愛のひとつの形が描かれていきます。
アンナの病状もどんどん悪くなっていきます。
半身不随の時はハッキリしていた意識も、発作を重ねて寝たきりになってくると混濁していきます。
そして、かつてのアンナの姿を思い起こした時、ジョルジュは一つの行動を決心してしまいました。
ラストの解釈は色々ありそうですけど、私はちょっと救われた気がしました。
観終った時、これも愛なのねと思いながら考えてしまった1本です。
監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:ジャン=ルイ・トランティニャン エマニュエル・リヴァ イザベル・ユペール アレクサンドル・タロー
2012年 フランス/ドイツ/オーストリア 原題:AMOUR/LOVE
(20130314)
→
公式サイトはこちらへ http://www.ai-movie.jp/