ラストの表情が頭から離れなくなりました(-_-)
一人の農夫の働く姿から始まる物語です。
遠くに海辺を望む高台の荒れ果てた農地を耕している男がいました。
その男・釜田十兵衛(渡辺謙)のもとに、馬場金吾(柄本明)が訪ねて来ます。
実は十兵衛はかつて人々に恐れられていた伝説の人斬りで、金吾は彼と一緒に働いていた仲間でした。
金吾は賞金首の情報を持ってきていました。
客に切り刻まれた女郎の敵に賞金がかかったのです。
亡き妻との約束で人は斬らないと頑なに話を断った十兵衛でしたけど、食べ物にも事欠く不作に
幼い子供たちを育てる金が欲しいと考えた彼は、金吾と共に行くことにします。
そして、子供たちには何かあったら村を頼れと言い残し、祖父に子供たちを頼むと
錆びた刀と妻の形見を懐にした彼は馬と共に旅立っていきました。
それにしても、圧倒される作品でした。
北海道の大自然に魅せられ、そこに生きる人々の怒りと悲しみと痛みに打ちのめされます。
そして、スクリーンに映し出される人は誰もが許されざる者で、何かを背負って生きていました。
女郎達の怒りを大きくしたのは主人の態度です。
顔を傷付けられた女郎の絶望を慰めもせずに損害だと言い、代償に馬を貰って喜びます。
彼女達は自分が馬と同等だと改めてショックを受けます。
そして、その怒りが懸賞金へと変わっていくのです。
そんな怒りと悲しみしか無い中で、痛みは自分にしか分からないという言葉が印象的でした。
お調子者の五郎(柳楽優弥)が気楽そうな顔で言う台詞ですけど、
この言葉で顔に無残な傷を付けられたなつめ(忽那汐里)の表情が、ふと軽くなったような気がしました。
敵とは言え死を招くことを重く感じていた彼女には、とても救いになった言葉なのかも知れないと感じました。
そして、何と言っても十兵衛が刺客へと変貌するシーンは本気で怖かったです。
前半、彼は町を牛耳る大石一蔵(佐藤浩市)にボロボロにされて、死ぬのが怖いと訴えています。
そんな彼が全てを捨てて豹変していくと、邪魔する者はみな殺していくような男になってしまうのです。
そして、そこから十兵衛の人生は大きく変わってしまいました(T_T)
人を殺すことの恐ろしさを体感する恐怖。拷問されても友を売らない矜持。罪を背負って生きることの狂気。
どれもが胸に響きました。
観終った時、俺、アンタに殺されるのが怖いと言う言葉が理解出来るなあと感じた1本です。
監督:李相日 出演:渡辺謙 柄本明 柳楽優弥 忽那汐里 小池栄子 近藤芳正 國村隼 滝藤賢一 小澤征悦 三浦貴大 佐藤浩市
2013年 日本
(20130902)
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公式サイトはこちらへ http://wwws.warnerbros.co.jp/yurusarezaru/index.html追伸
この映画はジャパンプレミアで観ました。公開は9月13日以降予定です。
追伸2
会社帰りに行くと、どうしても座席は二階席になってしまいます。
でも、今回はその二階席の通路を渡辺謙さんが歩いてくれました。
二階席中、とても盛り上がりました(^^ゞ