一人の男が列車の中で、ある女性と運命的な出会いをするところから始まる物語です。
エリック・ローマクス(コリン・ファース)の唯一の趣味は鉄道です。
時刻表を見るのも、実際に列車で旅をするのも大好きでした。
ある日、運行の変更から変則的な乗換えで目的地へ行こうと飛び乗った列車で一人の女性と出会います。
その女性パトリシア(ニコール・キッドマン)はあまり旅に慣れていなくて、
お勧めの都市やコースをエリックに尋ねてきました。
普段は無口なエリックも彼女のような質問は得意だったので、詳細に答えていきます。
いつしか話は弾み、彼は名残惜しそうに握手をして乗換駅で降りて行きました。
でも翌日、彼はいつものサロンで友人の問いに答えている時、自分は恋に落ちていると気付きます。
そして、彼女との会話を思い出して乗ってくる列車を割り出し、終着駅で待ち構えました。
列車が到着すると、彼の予想通りパトリシアが降りてきます。
そんな彼女は既に彼の心を予想していました。
それにしても、パトリシアは素晴らしい女性ですね。
ポール・ポッツもですけど、エリック・ローマクスもパートナーの存在に救われます。
結婚してから間も無く、エリックが第二次世界大戦に受けた心の傷に今でも苛まれていることが分かります。
そこは彼にとって触れて欲しくない部分らしく、彼女に原因を話そうとしません。
でも、彼女は必死に彼を救おうとします。
その想いがエリックの戦友フィンレイ(ステラン・スカルスガルド)の心を動かし、
捕虜時代に敵対した日本軍の通訳者・永瀬隆(真田広之)が今も生きていることを教えられます。
そして、永瀬との再会がエリックの心を大きく変えていきました。
今日の舞台挨拶には、そのパトリシアさんも登壇されました。
ゆっくりと丁寧に話す彼女の言葉からは、真摯な想いが伝わって来ました。
そして、過去の戦争で起きた残酷な出来事を忘れてはいけないこと。
その過去の出来事に、現代に生きる人々が罪の意識を持つとか相手を憎むとかではなく、
ただ二度と起こしてはいけないと理解して未来へ伝え続けていくこと。
そして、人は許しあうことが出来ることを、改めて教えてくれました。
戦争とは狂気の沙汰だと改めて感じました。
観終った時、そんな狂気は憎しみしか生まないのになあとしみじみと思った1本です。
監督:ジョナサン・テプリツキー 出演:コリン・ファース ニコール・キッドマン ステラン・スカルスガルド ジェレミー・アーヴァイン 真田広之
2013年 オーストラリア/イギリス 原題:The Railway Man
(20140327)
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公式サイトはこちらへ http://www.railway-tabi.jp/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は4月19日以降の予定です。
㌥