過去だけでなく現代にまでその精神が引き継がれているような気がして怖かったです…
ある日、年老いた母が長年の秘密を娘に打ち明けようと決心したところから始まる物語です。
フィロミナ(ジュディ・デンチ)は娘のジェーン(アンナ・マックスウェル・マーティン)に
ずっと大切にしてきた幼い男の子のモノクロ写真を見せました。
実は50年前に未婚のまま教会で産んだフィロミナの息子の写真でした。
写真はその1枚きりで2歳の時に別れたきりでしたけど、1日も息子のことを忘れた日はありませんでした。
母の驚くべき話を聞いたジェーンは、店で知り合ったマスコミ関係者に母の話を聞いて欲しいと依頼します。
その依頼を受けた男マーティン・シックススミス(スティーヴ・クーガン)は、
メールによる誤解からスキャンダルになり、政府のスタッフを首になったところでした。
彼はその依頼を一旦は断りますが、新聞社へ再就職する手立てとして三面記事も面白そうだと思い直し、
フィロミナの取材を始めることにしました。
まずは、フィロミナがいた修道院から取材を始めました。
二人を迎えた修道女たちは親切に対応してくれますけど、肝心の記録は火事で焼けてしまったと告げます。
ガッカリするフィロミナの姿を横目に見ながら、マーティンは修道院の奥に気になる人影を見かけます。
彼は何か不信なものを感じつつも、次の手がかりを求めてその日は去ることにしました。
早速、マーティンが修道院の近所のバーで聞き込みをすると、耳寄りな話を聞きつけます。
それは、火事は資料を隠蔽するために庭で何かを燃やしただけだったことや、
幼い子供たちはアメリカに養子に出されていたこと、その養子の見返りには金が動いていたことなどでした。
その話を聞いた、二人は更なる手がかりを求めてアメリカへ行くことにしました。
それにしても、酷い話だなあと思ってしまいました…
10代の子が知識が無かったために妊娠をし、家を追い出されて修道院に入れられ、
命がけで子供を産んだのに無償でこき使われて1日に1時間しか子供に合わせてもらえず、
2歳の可愛い盛りに勝手に子どもを売られてしまったのです。
そのまま50年間も想い続けて、届かない愛をずっと送り続けてきました(T_T)
でも、修道院の仕打ちがそれだけでは終わらなかったことがとても怖かったです。
肉体的な愛は罪という考えが正しいと思っている人たちなのです。
自分たちが正しいと思って行動している組織ほど怖いものは無いなあと感じました。
そして、その犠牲にどれだけ多くの少女が不幸になったのだろうと思うとやりきれない気持ちになりました。
救いは、それでも主人公の心が揺るがなかったことです。
自分と息子にこんな仕打ちをした人に、あなたを赦すと言う姿は神々しいまでの心の強さを感じました。
また、心が傷付いたフィロミナを見て記事を取りやめることまで考えるマーティンの優しさにも
観ていてほっとしました。
そして何と言っても、ジュディ・デンチがとても良かったです~
彼女の存在感はこの作品そのものだなあと感じました。
哀しい話なのに温かさも感じられるのは、彼女だからこそですよね(^^ゞ
観終った時、ジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンのコンビがとても素敵だったので
また違う作品でも観てみたいなあと思った1本です。
監督:スティーヴン・フリアーズ 出演:ジュディ・デンチ スティーヴ・クーガン ソフィ・ケネディ・クラーク アンナ・マックスウェル・マーティン ミシェル・フェアリー バーバラ・ジェフォード
2013年 フランス/イギリス 原題:PHILOMENA
(20140406)
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公式サイトはこちらへ http://www.mother-son.jp/