10歳の少年は強い決心と共に旅立ちました。
T・S・スピヴェット(カイル・キャトレット)は静かで大人しい男の子です。
今日はとうもろこしの皮を剥いている姉の傍で、とうもろこしのスケッチを熱心にしていました。
カウボーイの父と虫の研究家の母を両親に持つT・Sは10才ながらも天才的な科学者です。
観察してスケッチし分析することが彼の研究方法で、彼はいつも研究に没頭しています。
逆に双子の弟は明るくて行動的な男の子で父のお気に入りでした。
そんな彼に、ワシントンDCにあるスミソニアン博物館から電話で連絡が入ります。
偉大な発明をした科学者に贈られる賞の受賞者が彼に決まったので授賞式に来て欲しいというのです。
受賞者が子供ではなく父と間違えている相手に、彼は行くことは出来ないと答えますけど、
まだ双子の弟を事故で亡くした悲しみにバラバラになっている家族を見て、ふと旅立つことを決意します。
そして、ある明け方、彼は大きなトランクを引き摺って家から歩き始めました。
それにしても、ちょっと哀しい設定なのにワクワクするような物語でした。
小さな少年がアメリカ西部から東部まで、貨物列車に密航して旅をします。
時々、小さな出会いや逸話が登場して、主人公の心の痛みや悩み、そして子供らしい大らかな希望が見え隠れします。
そんな展開に、少年と一緒に旅をしている気分になってスクリーンを見つめていました。
そして、何と言ってもカイル・キャトレット君がおしゃまで可愛かったです~
彼の演じるT・Sくんは本物の天才で科学者です。
少年の何気ないことでも正論が見え隠れする言葉に、大人たちはドキッとさせられます。
でも、頭がいいけれど自分の考えを主張するのは苦手なのです。
大人から言われるととりあえず合わせてしまうところは、ちょっとアメリカっぽくなくて面白かったです。
ある意味、大人っぽい考え方をする子なのですよね。
でも、その子が母親クレア博士(ヘレナ・ボナム・カーター)の前では本当に子供らしくなってしまうのが
とても可愛くて笑ってしまいました。
観終った時、家族の愛を信じられる物語で良かった~とニッコリした1本です。
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 出演:カイル・キャトレット ヘレナ・ボナム・カーター ジュディ・デイビス カラム・キース・レニー ニーアム・ウィルソン ジェイコブ・デイビーズ
2013年 フランス/カナダ 原題:THE YOUNG AND PRODIGIOUS T.S. SPIVET
(20141217)
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公式サイトはこちらへ http://spivet.gaga.ne.jp/