アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

無人航空機を使ってピンポイントでの視察＆攻撃が可能な軍事力が配備されている現状を描いた作品です。
予告編を観てどうなるのだろうと気になっていたのでチャレンジしてみました。
世界はこんなふうになっているのかと考えさせられるような作品でした。

出だしはテロリストの捕獲作戦です。
イギリス軍とアメリカ軍の共同作戦で、ロンドンのキャサリン・パウエル大佐（ヘレン・ミレン）の指示の元
アメリカのネバダやハワイと回線を結んで、ケニアのナイロビにいるテロリストを追っていました。

しかし、捕獲目的だった作戦が爆撃へと変わった時、目標付近にいた無垢な少女の存在が重要になってきます。
爆撃により甚大な被害を受けそうな場所に、パン売りの少女がいたのです。

そんな状況の中、最終決定をする人たちも自分たちの立場で大きく意見が分かれます。
最重要テロリストと自爆テロを防ぐために、即座に爆撃せよという意見と
自爆テロで80人が犠牲になる可能性ではなく、今ここにいる少女を救うことを優先せよという意見です。
状況の変化に応じて意見が拮抗する中、テロリストたちの準備は着々と進んでいきました。

それにしても、何とも言えない気持ちになる作品ですね。
ミサイルによる攻撃はどんな大儀があっても、結局は人を殺すことになる。
改めてそんなことを考えさせられました。

先月に観た『海賊とよばれた男』の冒頭シーンでは無差別に爆撃機から焼夷弾が落とされます。
飛行士たちは戦争という狂気の中で、普通に暮らしている市民を殺すという意識が薄いなのかも知れません。
でも、地球の反対側からでも相手の顔が鮮明にスクリーンへ映し出すことができる現在では
より人を殺している感がリアルです。
技術の発達により、無差別にしか攻撃できない過去とは罪の意識の重さも変わっていました。

何が正義とか言えない時代なのかもしれません。
それでも、自分では決められないと悩む政治家たちの姿に、誰もが悩んでしまうよねと感じました。
観終った時、もしかしなくても地球上全体が戦場で、どこでも攻撃対象になるような
時代になってしまったのだなあと哀しくなった1本です。



監督：ギャヴィン・フッド　出演：ヘレン・ミレン　アーロン・ポール　アラン・リックマン　バーカッド・アブディ　ジェレミー・ノーサム　イアン・グレン　モニカ・ドラン　フィービー・フォックス
2015年　イギリス　原題：EYE IN THE SKY
（20170115）

→公式サイトはこちらへ　http://eyesky.jp/