ダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)は困っていました。
大工一筋40年。真面目に働き、税金を納め、2年前に妻を亡くした彼は、心臓を悪くして働けなくなります。
このままでは暮らせないため、国の援助を求めることにしました。
でも、援助を認めるか判断するのに、医者の診断書ではなく独自の判断基準を取り入れている役所は
マニュアル通りの質問を大量に問いかけます。
その質問にうんざりしてしまったダニエルは、イライラしながら口答えをして担当者の機嫌を損ねてしまい、
最終的には援助を受けるほどでは無いという判断を下されて、受給を受けられなくなってしまいました。
仕方なく、今度は失業手当を貰おうとします。
そのためには規定の就職活動をしなくてはなりません。
パソコンで就職サイトにネットで登録をし、履歴書を作成して週35時間以上頑張るのが条件ですけど、
全く使ったことの無いパソコンを動かすのは至難の業でした(-_-;)
それにしても、本当に身につまされる作品でした(T_T)
医者が心臓病で働けないと診断を出したのに、手当ての支払いを認めない役所。
江戸っ子の職人さん気質のようなダニエルは身近に感じられるキャラクターだったので、
そこから始まる苦難の道があまりにもリアルでした。
しかも、シングルマザーの女性が役所で困っていたら、自分の身内のように心配して声を掛けます。
本当にいい人なだけに、その後の展開は観ていてとても切なかったです。
途中、親切な窓口担当女性の、真面目な人がホームレスになるのを何度も見たという言葉がショックでした。
あまりにも理不尽な要求に失業手当も諦めようとしたダニエルへ、頑張って貰うようにと語った言葉ですけど
そんな状況があると役所では認識しているのに、その制度は変わらないのかとため息でした。
誰もが孤独な老人になりえる現代では、明日は我が身と感じるような物語でした。
観終った時、ダニエルのような人たちが幸せになれたらなあとため息をついた1本です。
監督:ケン・ローチ 出演:デイヴ・ジョーンズ ヘイリー・スクワイアーズ ディラン・フィリップ・マキアナン ブリアナ・シャン ケイト・ラッター シャロン・パーシー ケマ・シカウズウェ
2016年 イギリス 原題:I, DANIEL BLAKE
(20170313)
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公式サイトはこちらへ http://danielblake.jp/