ある夜の殺人事件から始まる物語です。
三隅(役所広司)は以前に自分が勤めていた工場長を河原で撲殺しました。
間も無く逮捕された三隅は、強盗殺人罪で起訴されます。
過去に同様の事件を起こして懲役刑を受けたことのある三隅にとって、
今回の事件は死刑が確定と予想されるような状況でした。
そんな中、弁護士の重盛(福山雅治)は三隅と面会しました。
元々は同じ事務所の摂津(吉田鋼太郎)が担当していましたけど、証言をコロコロ変える等、
自分には手に負えない裁判になると判断して、重盛に引き継いだのです。
三隅は穏やな笑顔で面会室に入ってくると、重盛に丁寧な挨拶をした後、質問に答え始めました。
それにしても、観ていて様々な考えが浮かぶような作品でした。
しかも、最後まで観ても明確な答えはありません。
いつも監督さんが仰っているように、解釈は観た者に委ねられるような展開なのです。
三隅はなぜ殺人を犯したのか。本当に彼が殺したのか。
三隅のことを“器のような”とはどういう意味か。
タイトルの“三度目の殺人”とは誰が誰を殺したのか。
頭に浮かんだこれらの疑問の答えは、きっと観るたびに変わるのかも知れません。
実はもう2回観ています。
でも、すっきりした気分になることは無く、すっきりしなくてもいいのかもと思って終わりました(^^ゞ
2回目に観た時は、監督さんと主演の福山さんが登壇する回で、最後に観客から質問を受けてくれました。
1つ目の質問「足跡の謎」:3人が雪の上に横たわるシーンを俯瞰で撮ったシーンで見える
縦に広がっている足跡は、実はもともとあった動物の足跡。
足跡があるなとは思っていたけど、上から撮ってみて初めて面白い足跡だと感じだそうです。
2つ目の質問「好みの階段」:印象的に使われている階段での撮影は監督さん好み。
アクションは取らないけれど、階段で様々な方向から撮るのは好きだそうです。
3つ目の質問「父と娘の関係」:実は離婚目前で別居中の重盛も、服役で30年以上娘と会っていない三隅も
三隅に殺された工場長の娘・咲江(広瀬すず)も父娘関係が壊れている。
これは3人を近付けるキーポイントのようです。
みなさん真面目に鑑賞して興味深い質問をされていて、すごいなあと感じました。
観終ってから、ふと、今度観る時はどんな答えが頭に浮かぶだろうなあと思った1本です。
監督:是枝裕和 出演:福山雅治 役所広司 広瀬すず 満島真之介 市川実日子 松岡依都美 橋爪功 斉藤由貴 吉田鋼太郎
2017年 日本
(20170919)
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公式サイトはこちらへ http://gaga.ne.jp/sandome/