1995年。停戦直後のバルカン半島を舞台に混沌とした現状の中で活躍している
“国境なき水と衛生管理団”のメンバーのある2日間を描いた作品です。
予告編を観て、この豪華なキャストでどんな世界を見せてくれるのだろうと気になっていました。
厳しい状況の中で自分たちの出来ることをやっていこうとする、ちょっと達観したような雰囲気に
独特な空気感を感じるような作品でした。
小さな村が点在する山間の井戸に遺体が投げ込まれました。
その地域をカバーしている3つの井戸のうちの一つで、他の2つは地雷のために近付けないため
この井戸が地元民の生命線でした。
処理の手配を受けた“国境なき水と衛生管理団”のマンブルゥ（ベニチオ・デル・トロ）たちは
遺体にロープをかけて引き揚げようとしました。
しかし、遺体の重さに使い古されたロープが耐え切れず、途中で切れてしまいます。
仕方なく作業を中断した彼らは、新しいロープを探しに行くことになりました。
それにしても、ひとつのロープが見せ付けてくる世界はとても厳しかったです(T_T)
井戸に遺体が投げ込まれた本当の理由。
首を吊るために使用するからロープは売れないという小売店の店主の態度。
平和だった暮らしが民族間の憎しみのために壊されていった過去と現在。
それらがロープ探しと共に少しずつ明かされていきます。
そして、最後に見つけたロープとその結果には、何とも遣る瀬無い気持ちになりました。
また、それぞれのキャラクターが面白かったです。
まとめ役のマンブルゥとビー（ティム・ロビンス）は現場に慣れていて、経験を基に臨機応変に状況へ対応します。
新人のフランス人女性ソフィーの正義感溢れる言動や、監督官として現場を訪れたカティヤの
つい理想論で考えてしまうところなども、なるほどなあと納得しながら観ていました。
中でも、マンブルゥはちょっと女性関係に問題ありな感じなのですけど、
大らかな頼りがいのある人で、子供にも女性にも細やかな心遣いを出来る心優しい人です。
そんな彼の熟慮した言葉には説得力がありました。
そして、様々な理由が重なって彼らの思うようにいかなかったことが、
ちゃんと解決していく展開が面白かったです。
観終った時、それでも彼らは今日を頑張るのだなあとしみじみと想ったのと同時に、
任期が終わるまで、どうか無事でいて下さいと願った1本です。
監督：フェルナンド・レオン・デ・アラノア 出演：ベニチオ・デル・トロ ティム・ロビンス オルガ・キュリレンコ メラニー・ティエリー フェジャ・ストゥカン セルジ・ロペス
2015年 スペイン 原題：A PERFECT DAY
（20180223）
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公式サイトはこちらへ http://rope-movie.com/