『JUNO/ジュノ』『ヤング≒アダルト』の監督と脚本で作り上げたちょっと不思議なドラマです。
予告編を観て、主演のシャーリーズ・セロンがまた身体を張っているなあと気になっていました。
一筋縄では行かない展開の物語に驚きつつも、切なさで胸がいっぱいになるような作品でした。
出産を間近に控えたマーロ(シャーリーズ・セロン)は大きなお腹を抱えながら家事に追われていました。
二人の子供のうち弟の方はじっとしてられない手のかかる子で、小学校ではかなりの問題児。
校長先生からは学校生活を送るために自費で専用の補助員を付けろと言われてしまうほどです。
そんな中、新たに3人目の子供が誕生しました。
もちろん新生児を含めて我が子はみんな可愛いのですけど、家事のほとんどがマーロの肩に掛かっていて
疲労が限界を超えてしまいます。
人を頼るのが苦手なマーロも、とうとう兄の勧めでナイトナニーを雇おうと思い始めました。
ある夜、その雇い人を待っていたマーロは、訪ねてきた女性を見て軽く驚きます。
予想よりも若くてきれいな女性だったのです。
タリー(マッケンジー・デイヴィス)と名乗ったナイトナニーはすぐに冷蔵庫やオムツ類の場所を確認すると
笑顔でマーロに休んできてと言います。
その言葉に従ってベッドで横になったマーロが翌朝目覚めると本人は帰った後で、
リビングがきれいに掃除されて完璧な状態になっていました。
それにしても、乳飲み子を育てる大変さをこれだけ前面に出しながらも、全体的に重くならないように
テンポ良く作られていることに感心しました。
また、出産後の主婦の現実をリアルに伝えてくれる作品ですね。
主人公が暴れる息子や数時間ごとに泣く乳飲み子の世話に追われる姿は痛々しかったです。
人に頼ることが苦手な主人公でも、この日常を打開しようとナイトナニーを依頼します。
それほど切羽詰っていたのです。
そんな妻に「知らない人に子供を預けるのか」とか「夜に知らない人が家にいるのは不安」というような
意見を言う夫は理解がなさ過ぎです。
妻にそれなりの気遣いも出来そうな人なのにな…と思ってしまいました(-_-)
主人公が現状を打開するために選んだ現実が明らかになった時、複雑な気持ちになりました。
そして、どれだけ彼女が孤独だったのかを考えると胸が痛くなりました。
観終った時、これはもうすぐ出産する妻を持つ全ての夫たちに観せたいなあと
そして、かつて乳飲み子だった全ての人たちに観て欲しいなあと感じた1本です。
監督:ジェイソン・ライトマン 出演:シャーリーズ・セロン マッケンジー・デイヴィス マーク・デュプラス ロン・リヴィングストン アッシャー・マイルズ・フォーリカ リア・フランクランド
2017年 アメリカ 原題:TULLY
(20180818)
→
公式サイトはこちらへ http://tully.jp/