小さな島の小さな村を舞台に、産みの母と育ての母との間で揺れ動く少女の心と、
二人の母親たちの複雑な感情を描いたドラマです。
切っても切り離せない絆と共に、少女の強く輝くような姿が印象に残る作品でした。
10歳のヴィットリアは敬虔なクリスチャンの母ティーナに育てられた大人しい少女です。
ある日、賑やかな町の人ごみの陰で、抱き合っている男女を見かけます。
ヴィットリアはその放埓な雰囲気を持つ女に驚きつつも、彼女から目を離せませんでした。
後日、母と共にある家の片付けを手伝います。
そこでは先日に町で見かけた女アンジェリカが暮らしていました。
馬や犬と共に暮らしながら気ままに生きている彼女にヴィットリアは惹かれます。
そして、次第に母に告げないまま、アンジェリカの家を訪ねるようになっていきました。
それにしても、親子の愛というのは本当に様々なのですね。
産んですぐに子供を手放し、その後は思い出すことも無かった産みの母アンジェリカ。
彼女は少女ヴィットリアに再会した途端、自分の娘だと確信して少女に惹き付けられます。
また、自分の出生の秘密を知らなかった少女も、アンジェリカに惹かれていきます。
でも、産みの母に惹かれていたヴィットリアは、
ふと自分が育ての母ティーナの深い愛情に包まれていたことに気付くのです。
日常の生活を振り返ったからこそ気付くという展開に、育ての母の愛が報われて良かったとほっとしました。
そして、この視野の広がりが少女を成長させていくのだなと感じました。
母たちがいがみ合う悲劇ではなく、明るい未来への余韻を感じさせるところが良かったです。
観終った時、優しい物語は観る人の心も優しくさせるなあと感じた1本です。
監督:ラウラ・ビスプリ 出演:ヴァレリア・ゴリーノ アルバ・ロルヴァケル
2018年 イタリア 原題:Figlia mia
(20190428)
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