フランス海軍を舞台に潜水艦の死闘を描いた作品です。
潜水艦映画だったら、きっと面白いかもとチャレンジしてみました。
緊張感と男気溢れる展開に胸が締め付けられるような作品でした。
音響の分析官として海軍で任務についているシャンテレッド(フランソワ・シヴィル)は
自他共に認める“黄金の耳”を持つ男です。
でも、作戦中に分析できない音に出会い、その作戦を失敗の危機に陥れてしまいました。
潜水艦を降りての休暇中でも、シャンテレッドはその謎の音が耳から離れなくなってしまいます。
やがて、超人的な聴覚と推理力を駆使して音の正体を解き明かした彼に、新しい任務が来ました。
それは、フランスが威信を掛けて造った原子力潜水艦への乗務でした。
それにしても、切ない物語でした(T_T)
もちろん、潜水艦映画としては鉄板の面白さだったのですけど、ハリウッド映画と違って
ハラハラ以上に厳しい物語でした。
指令を受けた潜水艦だからこその展開には、本当の戦闘ではこうなるのかと感じました。
シャンテレッドが解いた謎の先にさらに怖い展開が待っているというのも興味深かったです。
これは監督さんが元外交官でフランスを取り巻く状況を良く理解しているからかも知れませんね。
でも、こんな罠に出会ったら、きっと騙されてしまうだろうなあと思ってしまいました(-_-)
今年は今作で海での戦いの映画に出会ったのは3本目です。
『ハンターキラー 潜航せよ』はハリウッド映画らしいエンターテイメント作品で、
潜水艦乗りの男気を見せてくれました。
『空母いぶき』は日本をとりまく現状と、ひとつの未来を描いた緊張感と怖さを感じる作品で、
専守防衛の意味を考えさせられました。
そして、今作は世界の現状と、最悪の状態からの回避に挑んだ男たちの姿をリアルに描いた作品で、
軍人として生きることの厳しさを見せてくれました。
とても見応えがありました。そして、怖かったです。
世界中で命を掛けて闘っている人々がいることを改めて感じました。
観終った時、世界から戦争が無くなって欲しいのに…と思った1本です。
監督:アントナン・ボードリー 出演:フランソワ・シヴィル オマール・シー マチュー・カソヴィッツ レダ・カテブ
2019年 フランス 原題:Le Chant du loup
(20190622)
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フランス映画祭のサイトはこちらへ http://www.unifrance.jp/festival/2019/films/1170/
追伸
上映の後にアントナン・ボードリー監督と主演のフランソワ・シヴィルのQ&Aがありました。
撮影時の名優たちの雰囲気などいろいろなお話が訊けて楽しかったです(^^)