幼い頃に父を亡くしたトールキンは、唯一の保護者である母も12歳の時に病気で亡くしてしまいます。
でも、孤児になったトールキンと弟は母の友人で後見人になってくれたフランシス神父の後押しで
裕福な夫人の家に住みながら名門キング・エドワード校へ入学することになりました。
上流家庭の子息たちが集まる中で孤児のトールキンは意地悪をされますけど、
それを負けじと次々に跳ね返していく彼に少年たちも一目を置くようになります。
そして、けんかをきっかけに一番意地悪をしていた校長の息子ロバートと仲直りをしたトールキンは
そのまま彼の仲間のジェフリーやクリストファーと4人で出歩くようになりました。
彼らは両親からは企業家や弁護士などの上流階級らしい未来を求められていましたが、
実は普通の勉強よりも芸術に興味のある少年たちでした。
画家志望のロバート、詩に興味のあるジェフリー、作曲の才能を持つクリストファーと
いつも部屋で空想の世界を思い浮かべながら絵や物語を綴っていたトールキンは話が合ったのです。
やがて、彼らは芸術の力で世界を変えようという夢のもと4人だけの秘密クラブをつくり、
友情を深めていきました…
それにしても、素晴らしい友情の物語でした。
幼くして両親を亡くした孤児のトールキンと裕福な家庭で育ったロバート、ジェフリー、
クリストファーとの友情は、階級の垣根を越えて強い絆で結ばれていきます。
トールキンが自分の本当に進みたい道を見つけられたのも、最後まで愛する人を諦めなかったのも、
この友情に支えられたおかげですね。
トールキンがどれほど友情に救われたか、どれほど大切だったかが伝わってきました。
4人の生きた時代には大きな世界大戦があり、誰もが逃れられない運命に遭います。
戦場で親友を探しながら彷徨うトールキンの姿は痛々しくて切なかったです。
ただ、彼の瞳を通した戦場には少年時代に4人で語り合ったファンタジーの世界が映っていて
恐ろしい場景なのにスクリーンにはちょっと不思議な世界が広がっていてドキドキしました。
戦争によって心身ともに傷ついたトールキンの救いとなったのも友情でした。
観終わった時、こうしてあの『指輪物語』が書かれていったのかとしみじみと思った1本です。
監督:ドメ・カルコスキ 出演:ニコラス・ホルト リリー・コリンズ コルム・ミーニイ アンソニー・ボイル パトリック・ギブソン トム・グリン=カーニー デレク・ジャコビ
2019年 アメリカ 原題:TOLKIEN
(20190910)
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