リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)はとても真面目で正直な青年で、
いつかFBI連邦捜査官になりたいという願いを持っている警備員でした。
ただし、規則を額面通りにきっちりと捉えるため状況に応じた対応が出来ず、
雇われた先々でトラブルを起こしてしまいます。
自分では悪いと思えないことで解雇されることもしばしばでした。
自国でのオリンピック開催が近付いてきたある日のこと。
野外ライブ会場を警備していたリチャードは、ベンチの下に荷物が置いてあることに気付きます。
他の者はありがちなことと思いましたけど、規則通りに動くリチャードには見逃せない異変です。
早速、警察官を呼んで荷物を調べさせると、驚くことにその荷物は本物の爆弾でした。
慌てた警察官や警備員がライブの出演者や観客たちを退避させます。
でも、まだ退避が終わらないうちに爆弾は爆発してしまいました…
それにしても、正しい情報を伝えなくてはならないマスコミが特ダネを追い始めると
情報が歪んでしまうということを実感しました。
人を取り巻く情報にはどんなものでも人の意思が取り込まれてしまうものです。
時間やスペース等の制約の中では、どうしても切り捨てられる情報はあるでしょうし、
情報を流す方の思惑が明確な場合は、さらに大きく情報は変化していきます。
真面目に仕事をして爆弾を発見したのに、プロファイルの犯人像に近いからと言って容疑者にされ
それが確定的なように報道されてしまうなんて…
もし、FBIが犯人だと見込んだら…
その情報が世間の知ることになれば、例え犯人でなくとも世間からの注目は集まります。
世間の関心の高さに反応するのがマスコミなので、ますます注目は集まるばかり。
主人公の感じる圧力は半端ないものになってしまいます。
そして、エスカレートするマスコミの反応は冤罪を作り上げそうになっていきます。
その状況が本当に怖かったです(T_T)
この作品を観終わった時、日本でも過去に犯人と目されてマスコミに大きく取り上げられ、
酷い目にあった人がいたことを思い出しました。
今のネット社会では、マスコミでは無い普通の人が憶測や悪意で噂を広め
恐ろしい事態になることがありますね。
思い込みで判断することの怖ろしさと共に、
不安がはびこっている今だからこそ、情報には気を付けたいなあと改めて考えた1本です。
監督:クリント・イーストウッド 出演:ポール・ウォルター・ハウザー サム・ロックウェル キャシー・ベイツ ジョン・ハム オリヴィア・ワイルド ニナ・アリアンダ
2019年 アメリカ 原題:RICHARD JEWELL
(20200209)
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