私の休日の楽しみのひとつ、家で読んだ単行本の中で面白かった本の感想です。
今回の本は『ライオンのおやつ』です。
『ライオンのおやつ』 小川糸/著 ポプラ社先日『ミ・ト・ン』を読んだ小川糸さんの小説です。
4月7日に発表された本屋大賞で第2位に輝きました(^^)
ひとりの30代の女性が瀬戸内の島へ船から降り立つところから始まる物語です。
余命わずかの雫は残りの時間を静かに送るためにホスピスへ入ることにしたのです。
その自然豊かな島にあるホスピス「ライオンの家」を守っているのは代表のマドンナさん。
髪の7割が白髪という妙齢のマドンナさんはメイド服が似合う優しさの化身のような人です。
雫はマドンナさんやホスピスの人々、そして島の人々と交流をしながら日々を過ごしていきます。
彼女の視線で綴られる世界は、彼女の過去や家族との関係を思い返す時間とともに
少しずつ変化していきます。
その豊かな感情に心を揺さぶられながら読み進めていました。
タイトルの「ライオンのおやつ」はこのライオンの家で出されるおやつのことです。
ライオンの家で提供されるお料理はどれもが美味しそうなのですけど、中でもおやつは秀逸です。
リクエストの中から選ばれたおやつにまつわる逸話も心に沁みるものばかりでした。
途中からちょっと不思議な世界観になっていくのですけど、それも素直に受け入れられるのは
この本の持つ、包み込むような優しさがなせるわざなのかもしれません。
読み終わった時に心がほっとしたような気分になった1冊です。
(20200419)
ライオンのおやつ
- 作者: 糸, 小川
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2019/10/08
- メディア: 単行本