私の日々の楽しみのひとつ、通勤電車の中で読んだ文庫本の中で面白かった本の感想です。
今回の本は『後宮の烏4』です。
『後宮の烏4』 白川紺子/著 集英社オレンジ文庫白川紺子さんは集英社オレンジ文庫やコバルト文庫で活躍している作家さんです。
私は8巻まで続いた『下鴨アンティーク』シリーズが好きで読んでいました。
『後宮の烏』も面白くて続きを楽しみに待っているシリーズの1つです。
術を使う力を持つ「烏妃」と呼ばれる少女・寿雪の数奇な運命を描いた物語です。
彼女は父親を知らず、幼い頃に母を殺されて孤児となり、人買の手を経て奴婢として2年ほど生きた頃
金の矢に選ばれて「烏妃」という後宮の奥で密かに存在してきた特別な妃の後継者となりました。
詳細は公式キャンペーンサイトへ http://orangebunko.shueisha.co.jp/feature/shirakawakouko-campaign202004
不思議な世界観の中華幻想譚で思いっきりファンタジーの世界に浸れる小説です。
でも、こうして寿雪の生い立ちを書くと、とても厳しくて辛いですね。
そう言えば若き皇帝をはじめとする登場人物たちも皆、哀しい生い立ちの人が多いです。
それでもこの物語に惹かれるのは、主人公の持つ純粋な優しさと
小説の世界の謎の不思議さでしょうか。
彼女は後宮では異色の人で、後宮に生きる人々の常識とは違った価値観を持っています。
それは周りの人に小さな幸せをもたらしていくと共に、彼女自身の立場も変えていきます。
そんな少女が困難を乗り越えてどんな人生を歩んでいくのかと考えてしまいます。
そして「烏妃」とは何かという謎が解かれた先に何があるのだろうと気になってしまいました。
第4弾の今作では、寿雪の血筋の秘密が広がり始め、彼女の立場を危うくする事態が起きてしまいます。
彼女を排除しようとする勢力が暗躍する反面、
彼女を守ろうとする皇帝の友情や彼女に使える人々の親愛の想いにほっとしました。
この世界の謎の方は深まっていくばかりで、物語の続きは長そうです(^^ゞ
読み終わった時、早く続きが読みたいなあと新刊の発売がますます楽しみになった1冊です。
(20200425)