私の日々の楽しみのひとつ、通勤電車の中で読んだ文庫本の中で面白かった本の感想です。
今回の本は『読書嫌いのための図書室案内』です。
『読書嫌いのための図書室案内』 青谷真未/著 ハヤカワ文庫青谷真未さんの本を読むのは初めてです。
この本は“読書嫌いのための図書室案内”というこのタイトルに惹かれてチャレンジしてみました。
主人公は高校2年の荒坂くん。必要に迫られて図書委員になった彼は、実は読書が苦手です。
委員会初日の自己紹介で“学年と名前と好きな本”と言われ、みんなが嬉々として本を発表していく中で
困った彼は「好きな本はありません」と潔く宣言してしまいます。
すると、笑顔を浮かべた先生から図書新聞の編集長に任命されてしまいます。
利用者が減り続けている図書室の状況を打開するために図書新聞を復活させる逸材として
読書嫌いの視点を持つ彼は適任だとされたのです。
一緒に図書新聞の編集に任命されたのは、荒坂くんと同じクラスの図書委員・藤生さん。
彼女は活字を見ると何でも読んでしまうほどの活字中毒の少女です。
仕方ないと思いつつも最後まで編集長を全うするクールな荒坂くんと
普段はいじめられっ子でおとなしいのに文学の話になると
話し方も表情も一変させる藤生さんのコンビが可愛かったです。
そんな二人が紙面を埋めるため、同級生や先輩、先生に原稿を依頼していく中で
学校内の噂や謎の真相を見つけていきます。
予想よりもサクッと読めるライトな“青春ミステリー”という感じでした。
重度の本好きの藤生さんの解説と共に本の話題が次々と登場するのも楽しかったです。
そして、後半に明かされる“荒坂くんが読書嫌いな理由”もちょっと面白かったです(^^)
ちょうど春の時期の物語だったので、今読むのにはぴったりでした。
読み終わった時、彼らの作った図書新聞なら読んでみたいなと思った1冊です。
(20200430)