『星降プラネタリウム』 美奈川護/著 角川文庫先日、スマホの星占いをみるとラッキースポットが「プラネタリウム」でした。
今はプラネタリウムには行けないなあ…でも、プラネタリウムっていいなあ…ということで
家にある本の山の中からプラネタリウムが登場するこの小説を選んでみました(^^ゞ
帯には“社会人生活1年目、思い描いていた自分とは違う現実に、途方に暮れている人に読んで欲しい!!
荒み切っている心が癒される、感動のヒューマンドラマです!!”と書かれています。
美しい星空で観光地化した故郷を忘れようと上京したのに、
プラネタリウムへ配属になってしまった新入社員の一年間を描いた物語です。
新入社員研修後、施設運営部プラネタリウム事業課天文係に配属された主人公の渡久地昴くんは
勤務が始まっても戸惑うばかりです。
子供の頃から星空には見慣れていましたけど、特に天文学を学んだ訳では無く
プラネタリウムを観た経験も無し。
それでも、配属初日に笑顔の館長に歓迎されると、解説員の仕事を覚えるようにと告げられました。
このプラネタリウムでは映像を操作しながらその場に合った説明をしていく方法で
プログラムを進めていくので、解説員には知識も技術も話術も必要です。
しかも、解説員の先輩は密かに“魔女”と呼ばれている望月さんで、必要不可欠なことしか言わない、
言葉も表情も乏しいような女性でした。
でも、望月さんのプロとしての素晴らしい解説ぶりを目にしたり、プラネタリウムを訪れる
お客さまたちとの交流を経験する中で、昴くんの解説員としての想いが少しずつ深くなっていきます。
そして、解説員として自分が出来ることを見つけていくのと同時に、
昴くんの最大の疑問「人は何のために星を見るのか?」の答えを見つけていきました。
仕事を通して成長し、一度は見捨てた故郷にしっかりと向き合おうとする昴くんは偉かったです。
また、望月さんと昴くんが解説する星空の物語も面白かったです。
ちょっとだけ、“荒み切っている心が癒される”気分になりました(^^ゞ
読み終わった時、二人の解説でプラネタリウムを聞いてみたいなあと思うのと同時に、
いつかコロナの嵐が過ぎたら、プラネタリウムでのんびり過ごしてみたいなと願った1冊です。
(20200518)